この日は、夕方からテレビ番組の収録をして、大阪泊。
収録が何時に終わるかが不明なため、あらかじめ夜遅くまで営業しているうなぎ屋さんを検索する。
すると「関西では珍しいうなぎの炭火焼が堪能できます!」というお店がヒットした。

店名は『炭火焼寝床』

地下鉄御堂筋線なんば駅から徒歩8分とある。
宿泊したホテルが中津なので御堂筋線1本で行ける。

テレビ番組の収録が終わり、ホテルにチェックインしてすぐに電話を入れる。
到着するおおよその時間を伝えて、地理が不案内だというと
「近くで迷われたらお電話ください。お迎えに上がります。」と、とても親切な対応に気分もうなぎ昇り。

御堂筋線をなんば駅で降り、ミナミの賑わいを耳にしながら戎橋を渡り、心斎橋筋を北へ。
三ツ寺筋を東へしばらく進むとビルの2階に「寝床」の看板が見えた。

2階へ上がり、暖簾をくぐる。

カウンター席とテーブル席の小洒落た雰囲気の店である。

カウンターの向こうには、裂き台、炭火の焼き台があり、鰻店であることを認識させる。
焼き台の前のカウンター席が空いている。
「熱いですからこちらへ。」という店員さんの気遣いを振り切り、焼き台の前に陣取る。

まずは、目当てのお店お勧め、うなぎ串焼〈五種盛り〉を頼み、ビールで喉を潤しながら待つ。

待つ間にメニューを拝見。

メニューの先頭は、うなぎ串焼で力を入れている様子がわかる。

活締めうなぎとは、活鰻から割くということだろうか。
ならば、後でいただくことにしよう。

「特選」とか「限定」には、滅法弱い。

うなぎ串焼きが出来るまでつまみにと勧められたのが〈鰻の燻製〉
鰻の脂がチーズの燻製のような味を出していて、酒のアテにはもってこいだ。

お待ちかねの〈うなぎの五種盛り〉

どれも美味いが、その中でも〈はらみ〉と〈つくね〉がお気に入り。

〈はらみ〉
腹の脂ののった部分串焼きに。関東のうなぎ串焼店でいう〈くりから〉

外は香ばしくカリッと中はジューシーな焼き加減で美味い!
とろろ昆布を乗せると味の変化が楽しめる。

〈つくね〉
みょうが、大葉、柚子味噌を鰻の味を消さない程度に混ぜ込んである。
鰻の風味、薬味の風味のコラボレーション。
ほんのちょっと柚子胡椒をつけても美味い。

うなぎ串焼は、丁寧な仕事をされ、しかも美味しい。
どちらかで修業をされたのかを店長の水本将哉さんにお聞きすると
東京中野『川二郎』で漫画『美味しんぼ』にも登場したうなぎ串焼界のレジェンド・鈴木正治さん(現・中野『味治』店主)に基礎を教わったという。

その話をきっかけに水本店長と打ち解けて、うなぎ談議をさせていただくことになる。
私も食べていて感じたことだが、水本店長はオリジナルの創作料理はもちろん、定番の料理でもひと工夫して、手間をかけている。

そこで〈鰻の一本焼〉で〆る前にもう一品おすすめをいただくことにする。

〈う巻き〉
鰻のそぼろ入りという点がオリジナルである。
ひと手間かけた鰻のそぼろと中が半熟状態の玉子焼きのコラボレーションは病みつきになる美味さである。

さあ、〆の〈鰻の一本焼〉をいただこう。

「活締めうなぎ」とは、やはり活鰻から割くことで
これから割く活鰻を見せていただく。

水本店長の親戚が問屋さんをしているとのことだ。
この日は、三重県産の活鰻。

元気な活鰻を鮮やかな手つきで腹開きにしていく。

関東ではなかなか見られない有頭腹開きを焼くのに見入ってしまう。

たった今まで生きていた鰻を割いて、炭火で焼き上げた本場関西地焼き〈鰻の一本焼〉
〈白焼〉と〈蒲焼〉のハーフ&ハーフ

蒲焼の香りがとても良いので、これはうな丼で食べたい!
水本店長にお願いすると快く受けてくださった。

白焼だけをお皿に盛ってもらって、いただきます。
皮はパリッと身は香ばしく、中はジューシー。
頭は骨っぽさもなく、丸ごと食べられる。
文字で書くとこれだけだが、この焼きの技術のレベルは相当なものである。

我儘を聞いてもらった〈ハーフうな丼〉

地焼きのタレとしては甘みを抑えた薄口。
理由は、鰻自体の旨味を感じてほしいからということだ。

皮目の焼きは、相当に突っ込んでいる。
こうすることで皮と身の間の脂によって、蒸したような柔らかさに仕上げることが出来る。
かといって黒焦げにしてしまっては元も子もない。
その見極めが職人の勘どころという訳である。

『炭火焼寝床』さんのお料理を鰻喫させていただいた後、少し手が空いた水本将哉店長とお話させていただく。

水本店長は、2007年の『炭火焼寝床』オープンに携わった後、故郷の岡山倉敷にてご自分で鰻店をされていたとのこと。
和食の研鑽も積み、再び『炭火焼寝床』戻り、店長として活躍中。

お話していると、その鰻愛の熱さにうなぎ好きの私もつられて熱くなってしまう。
少し前に方向性が見えてきたとおっしゃいますが、その方向性に鰻料理の新たな可能性を見て、嬉しさがこみ上げる。

親戚の問屋さんからは、活鰻だけでなく、鮮魚も入荷している。
当日のおすすめには、新鮮な魚料理もずらりと並ぶ。

常連さんが頼んでいた裏メニューの〈マグロ丼〉をお断りして、パチリ。
長崎にあがった天然本マグロ使用のことだった。
鰻で鰻福になっていたのが、残念なくらい。

マネージャーの布川真由美さんと水本店長とともに鰻面の笑み。

明るく、元気な布川マネジャーの笑顔も水本店長のお料理を引き立たせている。

鰻愛と優しさに出会い大鰻足、ナニワの夜は更けていく。

 

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