先月、我孫子駅南口にオープンした『おがわ亭』でランチを楽しんで店を出ると『うなぎお賀川 我孫子店』からうなぎ好きには応えられない良い香りがしてくる。

お腹がいっぱいなので〈うな重〉は無理だが、〈蒲焼〉ならと、カミさんを誘って店に入る。

ランチタイムのラストオーダー間際の時間にも関わらず、7割方の席はお客様で埋まっていた。贔屓にしている店が繁盛しているのは嬉しいものである。空いていたカウンター席に腰を下ろす。

関西風地焼きの〈蒲焼〉をお願いすると、三河一色の良い新仔があるという。店主・湯浅翔太さんは、鰻問屋に勤めていた頃は主に鰻の選別を担当していたので、鰻の目利きは確かなのだ。

『うなぎお賀川 我孫子店』では、注文を受けてから活鰻を割きはじめるので、ゆったりと待つ気持ちが必要である。先客も大勢いるので盃を傾けながら待つとしよう。

『一歩己(いぶき)純米原酒』(福島・豊国酒造

“焦らず、急がす、そして弛まず、一歩ずつ”の思いが込められた酒だそうだ。鰻にぴったりではないか。

フルーティで甘い香り、芳醇な旨みで爽やかな後味は、日本酒党の女子には好まれるだろう。

さて、そうこうするうちお待ちかねの関西風地焼き〈蒲焼〉の到着!

皮目にしっかり焼きを入れて、旨みをぎゅぎゅっと閉じ込めて、外はサクッと、中はジューシーに焼き上げている。

半月前に大阪で食した上方の地焼きも年に数回赴く名古屋の地焼きも彷彿させる美味さがある。

ようやく手の空いた店主の湯浅さんに話を伺った。すると、皮目の焼きは新大阪近くの上方地焼きの名店を、サクッふわの食感は私も大好きな名古屋市瑞穂区の老舗をオマージュしているとのことだった。

料理はレシピ通りに作ったからと言って、同じ味わいを作り出すのは至難の技である。故にオマージュと言っても『うなぎお賀川 我孫子店』のオンリー・ワンの関西風地焼きなのである。

大阪、名古屋に思いを馳せた鰻愛のこもった関西風地焼きをかつて江戸で珍重された鰻の産地・手賀沼の畔でいただくもの乙ではないか。