北総の小江戸と呼ばれる佐原は、利根川の舟運で栄え、かつての賑わいは「江戸まさり」とまでうたわれるほどだったという。
現在も小野川両岸とその周辺には隆盛を極めた当時を彷彿させる古い商家が立ち並び、歴史的景観を残している。

利根川と小野川が合流するほとりに本店を構えるのが、1832年(天保3年)川魚問屋として創業した麻生屋である。

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麻生屋は、明治の中頃から小鮒など川で採れる小魚を背開きにして串に刺し、醤油ベースの合わせダレをつけて焼いた「すずめ焼」を製造販売した店でもある。本店店頭の売店の暖簾には「元祖すずめ焼」と染め抜かれており、今も看板商品だ。

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売店の奥に食事処に入口がある。

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奥の座敷で気軽に食事がとれる。
2階には少人数でくつろげる個室と大小の広間があり、宴会などに対応が出来るという。

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お話を伺った6代目の金子長蔵さんによれば、佐原の舟運が盛んだった頃、近くに船着き場があったので3代目が食事を提供していたそうだ。
その後、鉄道の開通により舟運が衰退したのを機に川魚問屋だけになり
再び、先代が食事処を再開させたそうだ。

嫁いで半世紀にわたり麻生屋・食事処を365日切り盛りし続けている麻生屋・会長であり大女将の金子幸子さん
「休みなく働き続けていたらこんな歳になってしまいましたよ。いつ?引退しようかと思っているんですがね。」と笑う。
いえいえ、まだまだお元気なので頑張ってください(#^^#)

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お通しは「しじみの佃煮」
老舗の味は懐かしい味である。

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「肝焼き」
ジューシーさは残しつつ、外はカリカリに焼いてある。
そこにタレがよく絡んでいる!

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「うな重」


適度な歯応えと口の中でハラハラとほどけるような食感が良い!

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特筆すべきはタレの美味さだ。
コクがあり控えめな甘さ。それを引き立てる醤油の良さが伝わる。

金子さんにお聞きすると麻生屋の佃煮を製造するために地元のメーカーに特注している醤油だという。
その麻生屋オリジナルの特注醤油と味醂、ザラメで甘さとコクを出しているそうだ。
また、金子さんの代になって鰻の味を活かすように少し甘さを控える改良もしたそうだ。

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質の良い鰻を使っているのがわかる。そこは川魚問屋を営んでいる強みだろう。

麻生屋では、活鰻から割く、蒸し置きしないにこだわっているそうだ。
金子さんの子供の頃は割き立ての鰻を当たり前の環境で育ち、後に蒸し置きの鰻を食べて、その違いに驚いたのが理由で
「自分が調理場の先頭に立つようになって、お客様には自分が美味しいと思うものをお出ししたい。」と金子さんは言う。

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そして、麻生屋の名物として推奨したのが「うなぎの白焼き丼」だ!
今回、お願いしたのはうなぎ1尾がのった「上うなぎの白焼き丼」

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地焼きの白焼きでは?と感じるほど皮目はパリッパリに焼き上げられている。
お聞きすると蒸しは入れてあるそうだが、白焼きは皮がパリッとしているのが美味いのでそれを出すように焼きを工夫をしているそうだ。

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〆には薬味をのせてお出汁をかけて、いただく。

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薬味の「柚子胡椒」は絶品である!
柚子胡椒は自家製であえて粗く刻んだ食感を残すそうだ。
「市販のペースト状の柚子胡椒では納得出来なかったのです。」と金子さん。

「うなぎの白焼き丼」を商品化するにあたって、白焼きが美味いといわれる店を食べ歩き、自店の白焼きにある程度自信は持てたそうだが、何か付加価値を、と考え抜いたのが柚子胡椒だそうである

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柚子胡椒をつけていただく「海老天重」が裏メニューにあるとか?
興味がある方は?お店で聞いてみてくださいな(^-^)

麻生屋の味を堪能した後は、レジ脇にショーケースがあり、名物のすずめ焼や佃煮などを買い求められるようになっている。

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お土産のつくだ煮
「しじみ佃煮」「唐辛子佃煮」

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「しじみ佃煮」は古里の味と銘打ち、懐かしい味。
「唐辛子佃煮」は「玉子かけご飯に入れると美味しいですよ。」と教えてもらい、試すと本当に美味いっ!
料理の隠し味にも使えそうだ。

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6代目の金子さんと話していて、伝統を守るとは基本は守りつつも時代に合わせた変化を恐れないことだと感じた。
「川魚問屋としては老舗ですが、鰻屋としては新参者です。」と謙遜する。
しかし、その真面目さが料理にあらわれている。料理は料理人の心が反映するものなのだろう。

麻生屋本店近くから望む利根川と小野川

麻生屋の前の階段を上がると雄大な利根川が望める。
この景色も麻生屋の後味のひとつだろう。

佐原の市街地「重要伝統的建造物群保存地区」の忠敬橋のたもとには『麻生屋・本橋元店』がある。

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佐原の街並み散策の際に『本橋元店』を利用するもよし、少し足を延ばして『麻生屋本店』を利用するのも佐原の味を楽しむ選択だ。

 

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