昨年から鹿児島・大隅の(有)泰正養鰻の2代目・横山桂一さんとSNSを通じて交流させていただいている。

※SNSアカウントは泰斗商店
Facebookページ 鰻)泰斗商店
Twitter [泰斗商店]横山桂一

横山さんは、一般消費者がなかなか見られない養鰻場の様子をたくさんアップしてくださり、うなぎ好きにはとても興味を惹きつけられる。

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4月末、横山さんから6月に上京するという知らせが…
場所は、横山さんと共通の友人のお店『鰻 はし本』

その日が来るのが待ち遠しい日々が続き、やっと当日が来た。

約束の時間に着くと、横山さんの他に鹿児島・大隅からお二人の養鰻家の方と横山さんを担当している飼料メーカーの方もいらしていた。

『鰻 はし本』4代目の渾身の料理の前に出されたのは、A、B、Cの3つの地焼きの鰻白焼。
台湾産、横山さんの育てた鰻、鹿児島大隅の他の養鰻場の鰻の中からどれが、横山さんの育てた鰻かを当てるという趣向だ。
横山さんは、この日の朝、ご自分の手で鰻を池から出して持って来られたそうだ。

A)ふんわり柔らかく、食べやすい鰻でさっぱりとした脂が特徴だと感じた。

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B)Aよりもぷりっとしており濃厚な脂。微かに鰻の香り以外の香りを感じる。

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C)Bに近い。しかし、鰻以外の香りは全くせず、脂ののりは3つの中で一番濃いと感じた。

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3つとも美味い鰻であるが、AとB、Cは食感自体が違うと感じた。
自分の中では、BかCが横山さんの鰻だと…。
好みでいえば、Cなのだが、ブランド鰻は天然鰻のような香りがするというのが謳い文句である。
横山さんはとても餌にこだわりを持ち、丹精込めて育てている。故に微かに鰻以外の香りがするBが横山さんの鰻だと申告。

答えはCだった。
味わった後に頭で判断したのが外れた原因かもしれない(>_<)
横山さんは、鰻以外の雑味がないように育てているとのことだった。

地下水が豊富な鹿児島・大隅でも井戸の場所によって水質が違うのだそうだ。
また、養鰻池の場所によって陽当たりなども違う。もちろん、鰻自体の個体差もある。
それらを考慮して、高い品質の鰻をそだてるのは、大変なご苦労があるのが、お話を聞いていてよくわかった。

餌に関してもどうすれば美味しい鰻になるかを飼料メーカーの担当者と綿密な相談を繰り返しているそうだ。
横山さんはそれを自虐的に「ほとんどクレーマーだから」と言って笑いをとる。
飼料メーカーと良い鰻にするという同じ目標を持つ同志だということが伺える。

 

本日の「おしながき」
淡水ガストロノミー はし本 feat.泰正横山

横山さんの育てた鰻が橋本さんにとって特別であり、リスペクトしているのがわかる。

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前菜
・大分のんきどぜう 有機牛蒡巻き
・うなぎのムースゼリーよせ
・琵琶湖の小鮎ディップ

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椀物
佐賀すっぽんと秋田じゅんさいのにごり出汁

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向付
チョウザメの親子と鯉の薄造り

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鉢魚
うなぎ一夜干しと肝の塩焼き

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油物
石狩川天然川えびと宮崎ゴールドラッシュのかき揚げ

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止め肴
うざくの再構築16

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香の物
骨せんべいと有機野菜のお漬物

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食事
うな丼(鹿児島泰正養鰻) 赤だし肝入り

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水菓子
無花果のお袋煮

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橋本さんの心のこもった料理の数々を堪能させていただいた。
川魚にこだわってメニューを構成するのは、仕入れから調理に至るまでとても大変なことだと思う。

鰻にしても橋本さんは、単に産地名を表記するだけでなく、養鰻場までもTwitterで発信している。
それは、単に同じ産地でも養鰻場によって味わいが異なるというだけでなく、養鰻家の鰻への愛情を少しでも伝えたいという気持ちに他ならないと私は理解している。

その気持ちが、横山さんたちと通じ合ったからこその今回のコラボレーションだと実感した。
〆の蒲焼にお二人の鰻愛がこもっていた。

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宴がお開きになり、お店の前での横山さんと橋本さんの表情。
笑顔に満足感が浮かんでいると感じるのは私だけではないだろう?

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戦後の食糧不足がようやく終わった頃に子供時代を過ごした私は、ご飯を食べるときに親や年長者から
「お米を作ってくれた農家の方たちに感謝しなさい!」と言われて育った。
そのことは、成人して様々な食べ物をいただく際にも生産者のことを思うということに繋がっている。

鰻の生産者である養鰻家の方に直にお会いして、大切に愛情をこめて育てた鰻をいただくという機会を得ることが出来た。
横山さん、一緒にいらした養鰻家の方に直接お礼を言えたのは、私にとってもこの上ない喜びであった。

ここには書ききれない様々なご苦労や体験をお聞きして、ますます感謝して鰻はもちろん食べ物をいただこうと思った。