母方の菩提寺は葛飾区水元にある。
子供の頃、母が墓参へ行くときは必ずついていった。
子供のことゆえ、ことさら信心深い訳ではなく、昼飯の鰻が目当てだった。

菩提寺から葛三橋を渡って『川魚 根本』での鰻は、私の鰻好きの原点といってもよい。
伯父たちと合流すると柴又まで足を延ばし『川甚』や『川千家』へ行くこともあった。

兎にも角にも子供心に墓参と鰻は完全にリンクしていたのだ。

水元へ行くには、車でなければバスを使うことになる。
金町駅から戸ヶ崎操車所行の京成バスに乗る。
金町駅での当時の自分を振り返ると
行きは鰻を思い浮かべてニヤニヤ、帰りは鰻足感で鰻面の笑みを浮かべていたに違いない。

その金町駅も車の免許をとってからすっかりご無沙汰になってしまったのだが…。

その鰻の思い出が詰まった金町駅からすぐのところに鰻とどぜうが食べられる店があるという。
仕事が早めに終わった夕刻、常磐線各駅停車に飛び乗った。

JR金町駅南口から京成金町駅を過ぎて踏切を渡ると「金町栄通り」に入る。
昭和にタイムスリップしたようなディープな一角だ。
初めて酒を口につけた時の後ろめたさとときめきの入り混じった匂い感じる。

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通りに入り、最初の丁字路を過ぎたところに「うなぎ 鳥料理」の看板が見える。
ここが今日、目的の『鳥鈴』だ。

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暖簾をくぐっろうとすると、中から引き戸が開き、にこやかに「いらっしゃいませ」の声。
実に自然でさり気ない出迎えに温かさを感じた。

一人なのカウンターの端へ席を取る。

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カウンター席のほかにテーブル席がひとつ、奥には小上がりで衝立を間に座卓が2つ並んでいる。

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2階にも座敷が2間あり、ぶち抜けば24名ぐらいまでの宴会が開けるという。

まず生ビールをお願いして頼むものを思案する。
お通しは〈鳥つくねのスープ仕立て〉
温かく優しい味付けがホッとさせる。

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メニューを拝見する。

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他にも店内にはお勧めメニューが貼りだされている。

美味そうな品がたくさんあり、迷ってしまうが、初志貫徹で鰻とどぜうで攻めるとしよう。

まずは〈うなぎ肝焼〉

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〈どぜう唐揚げ〉

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どちらも旨味にほろ苦さのアクセントがあり、川魚の内臓は美味いと感じる。
〈どぜうの唐揚げ〉の野趣あふれる味はツボである。
そうなると〈どぜうなべ〉が気になる。
〈柳川なべ〉があるので「丸鍋」か「ぬき鍋」か、が気になるところ。
聞いてみると〈どぜうなべ〉は「丸鍋」ということでお願いした。

良いどぜうなので「何処から引いているのですか?」と聞くと
私が懇意にしていただいている柏の鰻問屋「もがみ」さんだという。
「世間は狭いですね。」と2代目と笑う。

これを機に2代目と話が弾む。
『鳥鈴』さんは創業50余年で私の生まれた年に店の歴史が始まっている。
この店は私と同級生ということになる。
不思議なもので縁が重なると近親感が増す。

そうこうするうちに〈どぜうなべ〉が到着。

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どぜう初心者は開いた「ぬき鍋」の方が食べやすいと思うがどじょう好きは「丸鍋」の方が気に入ると思う。しかし、どじょう専門店以外では、なかなか「丸鍋」にはお目にかかれない。
しかも、美味しくて、値段も700円で本格的な「丸鍋」がいただけるので嬉しい限りである。

〈どぜうなべ〉を楽しむために酒をお代わりする。
接客、給仕は、大女将と若女将が担当している。
入店の際も触れたが、余計な真似はしないのだが、痒いところに手が届く人情味あふれる対応だ。

さて、〆の〈うな重〉をお願いしよう。

こちらは主に5.5P(約180g)の活鰻を仕入れて、店で割くところから始めるそうだ。
〈中うな重〉は3/4尾付、〈上うな重〉は1尾付という。
たくさん食べてしまったので〈中うな重〉をお願いする。

少し時間がかかるということで「これを食べて、待っててください。」と〈骨せんべい〉を出してくれた。
カリッカリに揚がっていて、鰻の鮮度の良さがわかる。

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〈うな重〉が到着する。


三河一色産の鰻を照りよく焼き上げてある。

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柔らかく脂ののりも申し分ない。
出汁の利いた味噌汁もホッとする。

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鰻とどじょうと人情味あふれる接客についつい長居をしてしまった。
すこぶる居心地が良く、常連さんに愛されて半世紀の時を刻んできたことがよくわかる。

帰りしなにお土産用の〈もも焼〉を包んでもらいながら初代の大旦那と話をする。
御年82歳の大旦那は、色艶も良く、かくしゃくとしていらっしゃる。いつまでもお元気でいてほしいと思う。

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家に帰り、土産の〈もも焼〉を鳥好きの娘に振舞うと「懐かしい味がする。」と言って、顔を綻ばせる。

『鳥鈴』の大旦那は亡くなった母と同年生まれである。
母との思い出の街・金町でいくつも縁が重なると偶然とは思えない。
母の引き合わせかとセンチメンタルな気持ちになる。

どうやらまた金町へ行く機会が増えそうだ。

 

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