土用とは、土旺用事(どおうようじ)の略。

土用というと夏を思い浮かべる方も多いと思うが、土用は各季節にあるのだ。
陰陽五行説で、春・夏・秋・冬をそれぞれ木・火・金・水とし、土を各季節の終わりの18日間に当てはめた。
つまり、立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間を土用という。

春夏秋冬の土用のうち夏の土用の丑の日には鰻を食べる習慣が定着している。
土用とはある意味、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期と言える。
栄養価の高い鰻は、土用の時期にもってこいの食べ物と言える。
そこで、夏の土用の丑の日だけでなく、春・秋・冬の土用の丑の日にも鰻を食べる習慣を広めようとする活動が行われている。

その先駆けとなったのは、長野県岡谷市に設立された「うなぎのまち岡谷の会」である。
「寒の土用丑の日」を全国に広めようとPR活動を展開し、例年2月11日に「岡谷寒うなぎまつり」が開催されている。

2017年の寒の土用の丑の日は、1月26日。
うなぎ大好きも明日に寒の土用の丑の日を控えて心踊らぬはずはない。
寒の土用の丑の日の前祝をしようと葛飾・亀有に出掛けた。

亀有駅で降りて、まず両さんにご挨拶。

常磐線の線路沿いに金町方面に歩き、環状七号線を渡る。
トヨタレンタカーの手前を入ると本日の目的店『鮒眞』の看板が見える。

女将さんに聞いたところ『鮒眞』は1956年創業の川魚店が母体で創業20年ほど後に隣を土地を買い取って食事処を併設したそうだ。

店頭では今ではすっかり珍しくなった活どじょうを量り売りもしている。

お食事処も40年以上歴史を刻み、趣がある。

店内は入って右側にテーブル席が2つ。

奥には下町情緒溢れる小上がり席がある。

初訪なのでテーブルの上のメニューを拝見する。

うなぎだけではなく、どじょうもあるのが嬉しい。
いきなり〈うな重〉というのも芸がないのでどじょうをアテに一献傾けようと思う。
〈どじょう鍋〉は〈丸鍋〉か〈ぬき鍋〉かを尋ねると、どちらでも対応できるというので〈丸鍋〉に〈生酒(八海山)〉をお願いする。

信州の生活が長かったので野沢菜がお通しなのは嬉しい。
厨房では女将さんが〈どじょう鍋〉の支度にとりかかっている。
ゆっくりと待つことにしよう。

〈どじょう丸鍋〉は卓上コンロに乗ってお出ましになる。

グズグズと美味しい音がするのを待つのも楽しみのうち。

どじょうと直に触れ合っているネギが温まった頃合いで皿に取る。

熱々をいただけば「美味いなぁ」としか言葉がない。
どじょうとネギを組み合わせることで、カルシウムがリン酸カルシウムとなり、体内の吸収をたすけてくれという。
〈どじょう鍋〉は江戸時代から続く調理法。昔の人の知恵に感謝である。

『鮒眞』では、鯉も扱っている。
鯉の名産地と名高い信州・佐久から活鯉を仕入れているそうだ。
以前は店頭でも〈鯉のあらい〉を売っていたそうだが、昨今の鯉の消費低迷で注文を受けて1匹を裂くようになったという。
1匹全てを〈鯉こく〉〈鯉のあらい〉にしてもよいし、半分ずつでも可能だそうだ。

〈どじょう鍋〉を充分に堪能したところで、〆の〈うな重〉を頼むとする。
〈うな重〉の特上と上の違いを伺う。
現在『鮒眞』では4p(活鰻で250g)を使用していて特上は1尾、上は3/4尾が乗るそうだ。

お腹は上で十分だと言っているが、耳元で鰻の妖精が「特上!特上!」と囁くので、特上をお願いする。
〈肝焼き〉も頼んでしまおう。

注文を受けて、しばらくすると隣の川魚店の火鉢の上に鰻が乗る。
備長炭で焼く、香ばしい匂いが通用口を通して客席まで漂ってくる。
う~ん、堪らない。鰻の妖精の囁きは間違いではなかった。

ワイルド系の〈肝焼き〉
鰻の内臓を全て串に刺してあるので複雑な食感と味わいが良い。

〈うな重 特上〉が登場。

蒲焼の照りと香りが秀逸。

やや甘めですっきりしたタレは子供から大人までに好まれる味だと感じる。
鰻のプリプリ感を残して焼き上げられた蒲焼はボリュームもある。
口に入れると身はとろける美味さ。

翌日に寒の土用の丑の日を控えて、お腹も心も温まる。
平日の昼下がり、ゆったりと時間の中で下町の味を鰻喫させていただいた。

 

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