『大塚うなぎ宮川』の八馬さんご夫妻から【TABICA(たびか)】を通して「うなぎ料理の奥深さを知る!調理レクチャー&実食体験」を実施するので参加しませんか?というお誘いを受けた。

鰻が大好きなので専門店で鰻料理を食べたり、鰻に関係する施設を見学などはしているが、実際に鰻を調理したことはない。
私が鰻を食べる理由は、その味が好きなこともあるが、素人には真似の出来ない調理技術があることを知っているからだ。

素人が鰻調理を体験できることは滅多にない。
鰻好きの友人たちを誘って参加させていただくことにした。


開始時間の少し前に『大塚うなぎ宮川』さんの前に行くと〔TABICA〕のフラッグが看板に取り付けてある。

参加者が揃うと『大塚うなぎ宮川』四代目の八馬 誠さんからご挨拶。

続いて、この日の体験イベントの流れの説明があった。

さあ、参加者はエプロン姿になって調理場へ移動して体験イベント開始。

調理場に入ったら、まず手洗いからが調理をするときの基本である。

鰻キャッチ

この日の活鰻は、宮崎『山道養鰻』の元気の良いウナ様である。

八馬さんからは「胸ビレの少し下を女性を扱うように優しく掴む」と教えていただいた。
しかし、元気印のウナ様はそう簡単に捕まえられない。

生活情報サイトのうなぎガイド氏も悪戦苦闘なのである。

何とか全員が活鰻を桶の中へ入れた後は、立て場を見学させていただく。

重ねた桶の中に水を循環させて活鰻を元気な状態に保たせる。

一際元気なウナ様はあの幻の鰻といわれる「共水うなぎ」ということだ。

割き

鰻を割く前にうなぎ裂き包丁を見せていただく。
うなぎ裂き包丁は、一本でうなぎの身を開き、骨とヒレを落とすことができるように作られている鰻を割くための特殊な包丁だ。

うなぎ裂には地域による違いがあり、江戸型に京都型、名古屋型に大阪型、九州型にわけられる。
うなぎ裂の形が違うのは、背開きをするか腹開きをするかの違いから来ているとのことだ。

江戸前鰻を作る八馬さんの包丁は、もちろん江戸型のうなぎ裂き包丁だ。

八馬さんは『つきぢ田村』で日本料理の修業もされており、うなぎ裂きの他に様々な和包丁を使い『大塚うなぎ宮川』の鰻以外の和食メニューも作られている。

八馬さんが解説しながらうなぎ割きの実演を披露してくださいました。

鰻業界紙の編集長氏が鰻関係者ということで特別に割きも体験させていただくことに。
しかし、鰻をまな板に乗せることもひと苦労する。

チャレンジすること数回目、目打ちするところまで成功。

割き八年といわれる難しさを参加者一同目の当たりにする。

他の鰻は八馬さんが裂いてくださり、身と身を合わせて、皮で身が傷つかないように割いた鰻を置いていく。

串打ち

割いた鰻を腹側を下・尾側を上にして、腹側の首の切口を左・尾部の尾ビレ切口を右に揃える。

親串を刺すのも鰻の身が思いの外、硬くて上手くいかない。

悪戦苦闘して、何とか4本の串を打ち終える。
鰻を無駄に弄くり回してしまったために手の熱で鰻が白っぽくなってしまった。

八馬さんの串打ちしたものと比べると一目瞭然の違いだ。

自分の串打ちしたものも八馬さんに手直ししてもらって、何とか様になって、ホッとする。

他の皆さんも串打ちを頑張っている。

串打ち三年といわれるが、難しさとともにとても体力の要る作業だと痛感した。

白入れ

串打ちが終わると次は白入れ。
炭火焼きと遠赤外線グリラーとでの団扇の使い方違いも興味深い。

白入れは、まず皮目から焼く。

返して身側を焼く。
これを何度も繰り返す。俗に万遍返しとか千手返しという重要な作業である。

白入れも体験させていただくが、熱さとの闘いである。
春とはいえ、肌寒い日でも額には大粒の汗が滲む。
夏の繁忙期はさぞかし大変な工程だと感じる。

皮目の焼き目から細かい脂の泡が立ち始めたら焼き上がりが近い。

皮目にしっかりと焼きが入り、身がふっくらと盛り上がる状態になったら焼き上がりだ。

白入れが甘いと仕上がった蒲焼に微かなえぐ味を感じてしまう。

肝焼き

白入れした鰻を蒸している間に肝焼きの刺し方のレクチャーを受ける。

教わった通りに真剣な表情で皆さん肝を刺していく。
串打ちを経験しているので、幾分手慣れたかもしれない。

串に刺し終えた肝焼きはグリラーで各自焼く。
塩で食べたい人はここで塩を振る。

熱さにも少し慣れて、気分は鰻職人。なかなか堂に入っている参加者。

脂がジュクジュクしてきたら焼き上がりのサイン。
タレで食べたい人はここでタレ焼きに入る。

自分で刺して、自分で焼いた〈肝焼き・塩〉

他の参加者の皆さんの〈肝焼き・タレ〉

多少、不格好だけれど、自分で作った〈肝焼き〉の味は格別ですね。
皆さん、良い表情で食べている。

蒸し

肝焼きを食べ終わった頃、鰻も蒸し上がったようだ。

焼き

タレをつけて本焼きに入る。

本焼きは別名、色付けというように『大塚うなぎ宮川』さんではタレに3度つけて身側だけを焼くそうだ。

香ばしくなって、良い焼き色がついたら焼き上がり。

盛り付け

自分でご飯をお重によそって、かけダレを掛ける。
『大塚うなぎ宮川』さんのかけダレは、つけダレよりもやや甘めなのだそうだ。

串を抜いて、蒲焼をご飯の上にのせる。

自分も調理に参加した〈うな重〉の完成です。

実食

各自、自分が調理に参加して作った〈うな重〉を持って、テーブル席へ移動。
お新香、肝吸いも到着して、ご対面。

見栄えはイマイチだが、愛おしい〈うな重〉である。

食事のお供には『大塚うなぎ宮川』さんお勧めの日本酒「日置桜 生酛玉栄」

素敵な杯で燗酒をいただく。

参加者皆さんと八馬さんで鰻面の笑みでパチリ。

食事の後はアンケートを書いてお開きとなる。

『大塚うなぎ宮川』四代目・八馬 誠さん、玲奈さんご夫妻の痒い所に手が届くサポートのお陰で貴重な体験が出来たことに心から感謝する。

鰻職人さんの技術は日本の食文化の宝であり、絶対に継承させていかねばいけないと感じた。
そして、貴重な資源である鰻の命をいただいていること、私たちが鰻料理を口にするまでに関わった全ての方々、食材に感謝していきたいと思ったイベントだった。

八馬さんご夫妻、一緒に参加してくださった皆さんに重ねて御礼致します。