池袋駅東口からサンシャイン60通り方面へ徒歩5分ほど、懐かしさがこみ上げる暖簾をくぐる。
ドアを開け、階段を降りると、昭和へタイムスリップしたかのような空間へいざなわれる。
気さくで元気の良い女将さんの「いらっしゃいませ。」の声を受けて、カウンターへ腰を下ろす。
『うな達』では、金曜日の〈カレー〉が有名である。
懐かしさの後から独特の辛さがやって来る〈カレー〉ももちろん美味しいが、うなぎ大好き的にはやはり〈うな丼〉なのだ。
それに〈どじょう〉もお願いしましょう。
ランチの〈うな丼〉には、味噌汁、小鉢、お新香がつく。
これが、大都会の真ん中で800円という驚きの価格。
口にするスッキリとしたタレの甘さと鰻の旨みが広がる。
鰻は、長年取引しているブランド鰻も扱う問屋から産地にこだわらず安くて質の良いものを仕入れているという。
この日は、台湾産の上物だ。
『うな達』は、大将のお母様が44年前に始められたという。
創業当時から継ぎ足し今に至る鰻のタレ。
そのスッキリとした甘さの秘密は、氷砂糖だという。
『うな達』の鰻タレは、大将にとっても古くからの常連さんにとっても「おふくろの味」だ。
「おふくろの味」である鰻タレを大将は万能調味料だと自信をもって言う。
〈どじょう〉にも鰻タレを使用している。
丸のどじょうを豆腐、ゴボウとともに玉子でとじている。
そこに刻み葱を少々。
この品も700円という激安だ。
夜になれば、うな串を肴に酒を酌み交わすお客様で賑わうのである。
「次回は、うな串で呑みに来ます。」と女将さんに告げて、店の階段を上がるのだった。