日本三大稲荷に数えられる笠間稲荷神社・一の鳥居に面する門前通りから神社東側の小路へ入る。
総門前を過ぎると『うなぎ 麦とろ量深』が店を構えている。
『量深』は“りょうしん”と読む。
入口右手から団扇を扇ぐ心地よい音が聞こえてくる。
音のする方へ誘われていくと格子戸の向こうには炭火の焼き台があり職人さんが鰻を焼ている。
気配に気づいたのか、格子戸が開き、職人さんが顔を見せてくれた。
職人さんは、馬場万作さん。
メニュー表紙に書かれているように2012年9月惜しまれつつ閉店した東京・武蔵境『田川』のタレを継承しているそうだ。
店内の「鰻」の揮毫や馬場さんの名刺の文字は、田川を贔屓にしていたスタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサーの筆ということだ。
馬場さんが鰻を焼くところを見させていただく。
綺麗に裂かれた活鰻。
どちらで鰻の修業をされたのか?お聞きすると、『田川』店主に基礎を教わったほかは独学だというから驚きである。
『田川』のタレを活かした自分の美味いという鰻を求めて日々研鑽を積んでいるということだ。
串打ちをして、炭火の上へ。
地焼きのように火が近い。
白入れで鰻の旨みを閉じ込めるには、火に近い方が良いと馬場さん。
蒸しは和蒸籠で
老舗『田川』から継承したタレで本焼き。
さあ、焼き立ての鰻をいただくことにしよう。
席は、1階角の座敷。
〈特上うな重〉と量深自慢の三年山芋とろろがつく〈特上うなとろ〉をお願いしておいた。
まず、〈特上うな重〉
〈特上うな重〉は、鰻1尾半入りの豪華版。
蓋を開けると香りの良さが際立っている。
香ばしさと鰻の旨みは地焼きのようでいて、舌の上でとろける。
関西風と関東風の良いところをブラッシュアップしていくのが馬場さんの目指すところなのか?と感じる。
ほのかに甘い〈だし巻き玉子焼〉に
〈香の物〉とは別皿に〈奈良漬〉
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〈肝吸い〉には焼き肝が入っている。
心のこもった料理を器が引き立てている。流石は焼物の街・笠間の店である。
〈特上うなとろ〉
近隣の契約農家から仕入れている三年山芋を使った〈とろろ〉
「春植えて、秋掘り返し、その来春に畑を変えて植え替えをするという作業を3年繰り返す」ので三年山芋というそうだ。
うなとろにして食す。
力強いとろろをかけても負けない鰻。
山の幸、川の幸、2つの滋味をいっぺんに身体に摂りこむご馳走である。
平日にもかかわらず入店待ちが出来る盛況ぶりたった。
由緒ある神社仏閣の近くには、うなぎの名店があるという。
うなぎ ある ある
笠間稲荷神社は『うなぎ 麦とろ 量深』で決まりだろう。