大向こうをうならせる 駿河屋

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今日は成田へやってきました。

正五九詣りってご存知ですか?
正月、五月、九月に寺院に参詣することを正五九詣りといいます。
より良い功徳を得られるとして、昔から多くの方が成田山正五九詣りをしています。

私は、産まれたのが成田山参道の産科医院だったので
高校時代までは成田山正五九詣りをしていたんです。
その頃から成田山参道のうなぎ屋さんは馴染み深いのです。

うなぎの街・成田そう、成田はうなぎの街なのです。

川豊本店
菊屋

今日、お邪魔するのはコチラの総門脇の駿河屋さん

駿河屋

お詣りを済ませてからまたまいります。

成田山新勝寺総門をくぐり、仁王門へ

こんなに参拝客が少ない成田山は初めてです。

日頃のご加護に感謝の祈りを捧げるとともに
一日も早いコロナ禍の収束を願わずにいられませんでした。

駿河屋の歴史さあ、駿河屋さんでうなぎを鰻喫することにいたしましょう。
『駿河屋』は、寛政年間(1790年ごろ)に旅籠屋として開業したそうです。
江戸時代は、現在のように自由に旅行をすることが難しく
同じ神仏を信仰している人々で「講」という団体を作りお詣りをする参拝講が盛んになりました。
成田山詣でをする成田講もそのひとつです。
駿河屋は、成田講の人々の宿として利用されたことがうかがえます。
明治の終わりから昭和の初めにかけて、鉄道の開通で東京・成田間の日帰りが可能になり
駿河屋は中食屋に衣替えをします。
当代である七代目・木下塁社長になり、うなぎ専門店となります。

壁には、天然うなぎの漁に使用していたうなぎ鎌やうなぎ筒などが飾られています。
印旛沼でうなぎ漁が盛んだった往時がしのばれますね。

額装された大相撲の力士の手形も目を引きます。

駿河屋は、成田山節分会に参加する力士の休息所に指定られているからです。

駿河屋のうなぎ駿河屋では店頭でうなぎの裂きの様子、焼きの様子が見られます。

これを見られるだけでうなぎ好きはテンションがうなぎ昇りになります(笑)

1階のテーブル席は満席にようで2階の座敷に案内されます。

中居さんたちの感じがとても良いのです。
入口で手指の消毒のお願いや席に着くときに食事以外でのマスクの着用をお願いされるのは
どこの飲食店でも同じなのですが、
何というのだろう?温かみのある言葉のトーンなのだろうか?
嫌な気分にならず、お店もたいへんですよね、と素直に従ってしまうのです。

メニューを拝見

〈うな重〉と〈白焼〉をお願いしましょう。

注文すると中居さんが
「うなぎは焼き時間に20分ほどお時間を頂戴しております。」
そして「白焼は、先にお持ちしてよろしいですか?」と聞いてくれます。

1人で順番に食べるので「はい。」と答えて、しばし待ちます。

隣のお客様がビールを注文されているのを見て、私もお願いしました。
※成田市は千葉県「まん延防止等重点措置」の対象外です。

お通しは〈ひれ味噌〉です。

おそらく、うなぎのひれを練り味噌にすりまぜたようです。
コクがあり美味しいです。
お酒がすすむお通しですね。

うなぎ白焼さあ、白焼が到着です。
「器の中には冷めないようにお湯が入っておりますのでお気を付けください。」と中居さん。
なるほど銅壺に入っているのですね。

白焼パッカーン♪

白焼には、山葵、おろし生姜、山椒、醤油がついてきます。

まずは何もつけずにうなぎの味を楽しみましょう。

う、うまい!
素材の良さ、調理の良さを感じます。

山葵醤油、生姜醤油、山椒をつけて食べてみましたがどれもうまい!

うな重成田山新勝寺といえば市川團十郎、海老蔵の市川宗家の屋号は成田屋ですね。
市川宗家の人気の演目「白浪五人男」の口上風にうな重に登場願いましょう。

さて、どんじりに控えしは 南の海から罷り越し 日の本清き湧水あびて 一角のうなぎとなり
巧みな技で裂かれて 備長炭で身を焦がし 下総醤油に 三河は白九重味醂で 丹精込めた秘伝のタレ  成田はお不動さま 総門脇に家斉公の御代から 店を構えし駿河屋の 名代のうな重 さあ召し上が

うな重パッカーン♪

この上もない良い香りが鼻腔をくすぐります。

芳醇な香りのお隣・香取市の「下総醤油」と使用うなぎの主力産地である三河の「九重味醂」で作られた秘伝のタレを纏った蒲焼はうまい!としか言葉が出ない。

このひと口 至福の時です。

ご飯も粒のそろい方、ややかための炊きあがり具合といい、うな重にとてもマッチしているのです。
うなぎに山椒はかけない派ですが、山椒も香り高いので
山椒ご飯に追いダレをしていただきます。

肝吸い、お新香ももちろん、うまい!

駿河屋のうなぎ 鰻喫致しました。
ご馳走さまでした。

大向こうをうならせる大向こうをうならせるとは
歌舞伎役者などが、優れた芸で大向こうの観客を感嘆させることです。
うなぎ屋さんの場合
個人で営んでいる小規模の店では職人さんとの距離が近く
裂き、焼きなどの技が間近で見られたり、話が効けるメリットがあります。
ある程度の規模の店だと料理の味や接客がものをいいます。
駿河屋は、料理の味にも接客にも
おもてなしの心が詰まっているように感じたのです。
帰りしな、ランチョンマットに拙書に気持ちを込めて置いてまいりました。

私がこのように幸せな気分でうなぎをいただけたのは
木下社長のコンセプトが職人さん、スタッフにしっかりと浸透している証だと感じました。

常連さん、成田詣でのお客様をこれからもうならせてくださいませ。
ありがとうございました。

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