文豪といわれる人は、うなぎ好きの方が多いようです。当「うなぎ大好き」にも文豪の愛したといわれるお店や作品に登場するお店を紹介していますが、こちらもそのひとつ。先代千円札の顔・夏目漱石の代表作『吾輩は猫である』に登場します。ただ、「吾輩は猫である」の書かれた1906年当時は、本店が新富町にあった頃で、その後、関東大震災で被災し、現在の木挽町(銀座8丁目)に本店を移転したそうです。今回、昼のコースを頂いた離れの茶室や座敷は、関東大震災の翌年(1924年)に建てられ、現在も当時の姿を残しています。
竹葉亭本店には、2つの入口があります。上の写真の入口は座敷席の入口で、その右側に椅子席の入口があります。椅子席は、予約なしで気軽に鰻丼などが頂けます。座敷席は、予約制でコース料理になります。
予約の時間に入口付近で立ち止まると中居さんが「○○様でございますか?お待ちしておりました。」とすごく自然に声をかけてくれました。あとの接客も押して知るべしで、一部の老舗にあるような客に緊張を強いるような気の使い方ではなく、気さくでかつ礼を失しない接客でした。
お料理も同様で、良い意味で普通です。どうだ!ウマいだろう的な自己主張は微塵もありません。白焼きは皮まで柔らかく、蒲焼きは身はトロトロ、皮は香ばしくパリッと、タレは薄めの辛口と江戸前鰻の王道をいっています。老婆心ながら味のサプライズを求める方には不向きです。