瀬戸・深川神社参道 田代

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名古屋行きが決まったとき、まず田代に電話で問い合わせをした。何故なら田代の定休日は月曜なのだが、この週の月曜日は海の日で祝日なのだ。月曜が祝日の場合、月曜は営業して火曜を振替の休みにする店がけっこうあるからだ。

「はい、うなぎ屋です。」
「21日の火曜は営業していますか?」
「20日やるので21日は休みます。」
「22日はやってますか?」
「22日はやってます。」
という電話のやり取りがあり、22日に田代へ行くことにした。

屋号ではなく「うなぎ屋です」と電話に出ることから気取りがない。聞いたことだけすぐに跳ね返ってくる答えは愛想もない。その分、美味い鰻を出すことに集中している気がして、期待が高まった。

ホテルをチェックアウトして名鉄瀬戸線栄町駅まで歩く。今日は生憎の雨模様、昨日より湿度が高い。
栄町駅から尾張瀬戸駅までは30~40分かかる。幸い次の電車は急行で31分で尾張瀬戸に着くようだ。

名古屋を出るときに泣き出しそうだった空は、尾張瀬戸に着いた頃には傘が必要な雨降りになっていた。駅から大通りを通って田代のある深川神社を目指す。通り沿いには、さすが瀬戸物の街だけあり陶器屋さんが何軒をか軒を並べているが水曜が定休なのかどの店もひっそりとしている。途中、『手打ち蕎麦 志庵』という小奇麗な蕎麦屋の前を過ぎると大鳥居が見えてきた。あの鳥居をくぐるとすぐに田代はあるはずだ。

深川神社店に着くと、店頭では大将が七輪で炭をおこしている最中だった。(少し伸びた坊主頭に丸顔で首にはタオルを巻いたTシャツ姿はご主人と呼ぶより大将がしっくりするので、そう呼ばせてもらう)

「おはようございます。」と声をかけると
「お食事ですか?」
「はい。」
名前と人数を聞かれたので、名前を言い1人であることを伝えると壁にメモをしているようだった。
「11時半からなので10分前くらいに戻ってください。」と言われ、順番取りが完了したようだ。

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せっかく神社の参道の店に来たのだからと深川神社を参拝する。お参りをして社務所でトイレを借りようとしたが境内にはトイレはないそうで神社から見て一番手前の商店の脇と大鳥居の右側に公衆トイレがあることを教えてくれた。田代にもトイレは見当たらなかったので食事に来た方はこの公衆トイレを利用するのだと思う。

開店15分前に店に戻るとけっこうな人だかりである。店先に順番待ちの名簿があったので確認すると幸い私が1番だった。

9人目と10人目の間に赤字で12:00~と入っている。1巡目で入れるのは赤字の前の9人のようだ。

そのあとにもたくさんの名前が書き込まれ、次々に増えていく。

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DSCN273201開店5分前になって、大将が軽ワゴンで戻って来た。荷台からは鰻の入った桶を店に運び込む。桶を覗くと大振りで肉厚の鰻たちが氷を掻き分けながらニョロニョロしている。

大将は休む間もなく、鰻をつかみ、まな板の上で流れるように鰻を裂き始めた。ある程度、鰻を裂くと1巡目で入れるだろう人たちから注文を取り始める。私は、並で1尾分、上で1尾半分あるというので並にするか上にするか、さっきまで迷っていたが、活きのいい鰻を見たら思わず鰻丼の上を頼んでしまった。

DSCN273901DSCN274001DSCN274201注文を取り終えると鐵串に刺した鰻を炭火の上に乗せていきます。並べた鰻を団扇で扇ぎながら焼き加減をみてリズミカルに返していきます。

シャッターチャンスとばかりにカメラを構える人たち(自分もその一人(笑))に大将は「写真は構わないけど、灰が飛ぶから気をつけてね。」と声をかける。

11時半ちょうどに暖簾が出て、1巡目の人たちが入店する。私は1人なのでカウンター席に腰をおろし、全員が席に着くと、丼にご飯が盛られ仕上がった鰻を次々に乗せていきます。

私の前に「お待ちどう様でした。」と鰻丼、吸物、漬物が用意される。ふ~と息を吐き、蓋を取る。さあ、鰻とのご対面!

輝いている!シラスウナギが白いダイヤならここの鰻は黒いダイヤといったところか?!しかもボリューミーな鰻が3枚重なっている様は圧巻だ!

1枚を箸で持ち上げる。重い。ズッシリしている。このままかぶりつくしかない。ひと口噛むとサク、プチッと音がしたような。外側のカリッとした食感と中の弾力のある食感が間を措かずにやってくる。続いてタレの味が口いっぱいに広がる。濃厚!味覚的には甘さと濃口の醤油味なのだが、濃厚という表現がぴったりする。追いかけるように鰻の旨味がやってくる。

この鰻はガツガツ食らうのが流儀のような気がする。焼きたての鰻、炊き立てのご飯と熱さとの格闘だ!

DSCN274501食べ進むと丼の底にはタレが溜まっている。つゆだくならぬタレだくだ。しかし、ご飯がベチャとはしない。始めに濃厚と感じたタレも丁度良く感じられ後味もすっきりしている。

10分ほどで鰻との格闘終了。うまかった!

鰻はひと昔前までプチ贅沢だった気がする。最近は鰻の価格高騰ですっかり高級食材である。それにともない街のうなぎ屋さんが徐々に姿を消してめっきり少なくなってしまった。

田代は、店頭で焼いた鰻を狭くレトロな店で食らうという街のうなぎ屋さんの風情があり、しかも他店では味わえない唯一無二の美味い鰻が食べられる貴重な店だ。近くに住んでいれば「田代の鰻が食べたいね。」「じゃあ、行こう!」という会話がうなぎ好きの家族では必ず出そうな店だ。

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