今日は二の丑である。
土用とは四立(立春、立夏、立秋、立冬)の直前約18日間をさす。土用の間のうち十二支が丑の日にあたるのが「土用の丑の日」である。土用の入り近くに丑の日がある年は二の丑まである。今年もそうである。
夏の土用の丑の日は大変混み合うのであえて避けていた。野田岩、石ばしなどの老舗の中には休んでしまう店もあるくらいだ。
しかし、今夏の東京では連続猛暑日の新記録を更新中である。スタミナをつけなければ乗り切れないというわけで、鰻を食いに出掛けるとする。
名古屋へ行ってからというもの地焼きにはまっている。東京で地焼きで思い浮かぶのは銀座のひょうたん屋だ。ひょうたん屋1丁目店には行ったことがあるので、今日はひょうたん屋6丁目店へ行こう。
東銀座駅で降り、三原通りへ入ると「九州じゃんがら」「東京油組総本店」「九代目けいすけ」などラーメン店や「銀座たちばな」の前には昼時ということもあり、すでに行列ができている。
ひょうたんやの前には幸いなことに入店待ちは1人だけだ。
10分ほどでカウンター席へ案内される。すでにカウンターには箸、お新香、お茶がセットしてある。
ランチタイム限定のうな丼・1550円にうな重は松・3250円、竹・2600円、梅・2160円である。わざわざ丑の日にやって来たのだから松にしよう。
カウンターの向こうでは、焼き方と丼やお重、お椀を準備する方で流れるような作業をしている。串によって大きさが違うようだ。それを瞬時に判断して丼やお重にご飯をよそい、タレをかけ、鰻をから串抜き、盛っていく様は壮観でさえある。
半分くらいの注文はうな丼である。小さい串だが1尾分乗っているのでCPはとても良い。
作業に見惚れているうちに「前から失礼します。」とカウンター越しにお椀とお重が提供された。
ひょうたんの絵柄の蓋をとると鰻が1尾半鎮座ましましている。地焼きといっても外をカリカリに焼くことはせずに柔らかくプリプリとした仕上がりだ。タレは辛口。地焼きと知らなければ、蒸しの浅い江戸前風だと思うかもしれない。
お椀はワカメとミョウガの吸物。薄味なので辛めのタレの口直しにはちょうど良い。
入れ替わり立ち替わり客はやって来るが、地焼きなので江戸前風よりも短時間で提供出来る。従って客の回転がはやい。丑の日とはいっても店の前に行列がすくないのも道理である。
帰りに銀座4丁目角の竹葉亭・銀座店の前を通ったが行列ができていた。
自分にとって、土用の丑の日に鰻が食べたくなったらひょうたん屋が選択肢の最上位になった。