今日は赤羽に来ている。赤羽は、都内で飲兵衛の聖地のひとつに数えられるだろう。
そんな飲兵衛の街・赤羽のランドマーク的な店が『鯉とうなぎのまるます家 総本店』だ。朝9時の開店から朝酒、昼酒、夕餉の酒、〆の酒と12時間以上も飲兵衛のために店を開いている。また、店名に“うなぎ”とあるように赤羽では川栄と並んでうなぎ大好き的にもおさえておくべき店である。
まるます家の行列は珍しく4,5人待ち。これは並ぶほかない。待っていると軽バンが停まり荷台からは大量の串打ちされたうなぎが下されて店頭に積み上げられた。夕方から夜の繁忙時間の追加発注なのだろうか?
15分ほどで店内へ入れた。店内に入るとすぐに「お一人様どうぞ」と言われ、左手カウンターの入口付近に座ることが出来た。
まず、サッポロラガービール 通称:赤星に1800円の白焼きと亀重を注文する。あいにくかぶと焼きは午前中で売り切れたそうだ。日曜日なので仕方ない。
カウンターの上には、すかさず山椒、醤油、お新香が並べられる。むらちょこには醤油に山葵と生姜おろしが添えられ、おてしょには山椒塩を手早く作ってくれた。
店内の焼き台では次から次へとうなぎが焼かれていくので注文すればあまり待たずに提供される。
まず、白焼き。何もつけずにひとくちいただく。ちょうど良く脂がのっていて旨い。口の中でホロホロととろけていく。
白焼きをひとくち食べたところでうな重と肝吸いがやってきた。目の前のカウンターがいっぱいになってしまった。カウンターの渋滞整理のために白焼きと赤星を交互に口へ運ぶ。
白焼きに定番の山葵醤油もイイが自分は山椒塩が好きだ。山葵は蒲焼きの口直し用にとっておく。
白焼きを腹に仕舞ったのでうな重に取り掛かる。蓋を開けて黄金色の蒲焼きとご対面。昨今のうなぎ高騰でこのサイズの蒲焼きがのったうな重が2,000円とは高CPだと思う。さっぱりした醤油系のタレをまとった蒲焼きは美味。
肝吸いは自分の好みからすると塩味濃いめだが、ふっくらした肝が入っていて美味い。
漬物は白菜、紅生姜と奈良漬。奈良漬入りはうなぎが屋号に入っている店の面目躍如か?(笑)
店頭ではうなぎと鯉のテイクアウトが出来る。蒲焼は1800円と2300円の串が並んでいる。鯉もあらや洗い、旨煮などが店頭脇の中の見えるドリンク用の冷蔵庫に入れられ売っている。今日は鯉を買っていこう。うなぎを焼きているおねえさんに声をかけると出てきて応対してくれる。「今日もお待たせしてすみませんね」といいながら買った旨煮と洗いの上に保冷剤を入れて袋に詰めてくれる。
やっぱり赤羽はザ下町なのだ。まるます家のおねえさん方も口は悪いがその中に温かみがあるのだ。高級店で丁寧なホスタビリティを望む人にはガザツと感じるかもしれないが、下町生まれの自分には心地の良い店のひとつである。