山梨県・甲府に江戸時代創業で300年近くつづく鰻店があるという。屋号を『黒駒楼』という。屋号は甲州の侠客・黒駒勝蔵にあやかったという。
黒駒勝蔵が甲州博徒をまとめ活躍したのは、江戸時代から明治に代わる直前なので50年近く計算があわないことになる。創業時代の屋号を黒駒勝蔵にあやかって変えたのだろうか?「次郎長三国志」など清水次郎長が主役の物語では、次郎長と対峙していた黒駒勝蔵は敵役として描かれている。しかし、甲州では戊辰戦争で官軍に味方したことから”尊皇の侠客”と人気があるという。甲州は地元出身者を大事にするお国柄。そんな他愛もないことに思いを巡らせ、興味をそそられたので『黒駒楼』にお邪魔することにした。
立派な構えの玄関を入ると右側の陳列ケースには「天皇皇后両陛下に賞味賜ったうな重」と昭和天皇が使われたであろう食器や山下清画伯の色紙などが飾ってある。由緒正しい老舗なのは間違いないのだろう。
玄関の正面は「うなぎ 割烹 黒駒楼」とあることから割烹料亭になっていると思われる。玄関右手前と道路側から入口があり、気軽にうなぎ料理が食べられるテーブル席がある。
テーブルは4人掛けが4卓。
13時ごろの訪問だったが、満席で食べ終わった1組の片付けが終わるのを待って席に着く。
メニューはシンプルで
特上うな重 肝吸い 4,600円
上うな重 肝吸い 3,900円
うな重 お吸い物 3,300円
中入れ丼 肝吸い 4,600円
白焼き 3,400円
きも煮 930円
茶わん蒸し 930円
全て税込のお値段。
うな重と白焼きをお願いする。
30分ほど待って、料理が到着。
ボリューム感のある鰻を使用している。
白焼きは見た目ほど焼きは強くなく、しっかりと蒸しているようだ。身はとろけるような柔らかである。
うな重もお重の中で蒲焼が重なっているように大きめの蒲焼がのっている。これで一番下のランクなのだから上のランクになるとどれだけの量の蒲焼がのるのだろうか?
蒲焼もとてもふっくら仕上がっている。
タレはキリリした辛口で鰻の旨味を引き立てている上品さを感じる。
やや小骨が気になった。
知り合いのうなぎ屋さんの話だと「太物の鰻には多いかもしれない」とのことだ。
太物の鰻を喜ぶお客も多いので鰻職人の仕事の奥深さを感じる。
店の歴史や鰻の話を少ししたかったが、ランチタイム終了のために叶わなかったのが残念だ。うなぎ大好きは老舗の味に接して、鰻妄想全開になってしまった(^^ゞ