長野県岡谷市は、信州で最も大きな湖である諏訪湖に面している。昭和30年代までは諏訪湖や諏訪湖から流れ出る天竜川では天然うなぎが豊富に捕れたいう。現在も人口あたりのうなぎ消費量は全国上位に位置しており、それを街の活性化につなげようと「うなぎのまち岡谷」の会を設立している。
そのような岡谷であるが、管理人のカミさんの実家がお隣の下諏訪町ということもあり、以前は“地焼きのうなぎが食べたくなる”とよく出掛けていた。そう、岡谷のうなぎは、裂きは背開きで関東風、焼きは蒸さずに焼く関西風で濃いめ甘めのタレが特徴だ。うなぎを食べて元気をつけたい時にはもってこいのひとつだと思う。
『うなぎ水門』へ来るのは、かれこれ20年ぶりだ。場所も釜口水門近くから岡谷南高校の隣へ移転し、店も綺麗に広くなっていた。
まず、「きも焼き」と「かぶとの塩焼き」をお願いするが、「かぶとの塩焼き」はあいにく品切れで1組1点限定の「きも焼き」を頼む。
メインのうなぎは、「うな重 極上(七切れ)」と「うな丼 上(三切れ)」にする。
昼の開店時間の少し前に到着して、この日の一番乗りだったが、平日にもかかわらず開店時間から5分と経たないうちに広い店の半分程度が埋まる盛況ぶりだ。
注文から10分ほどで「きも焼き」が到着。
肝がたくさんある。これだけのの量ならみんなでシェアして食べられる。1組1点の理由を納得。
肝のほろ苦さに甘めのタレがとてもさっぱり感じる絶妙さが良い。
さらに10分ほどで「うな丼 上」到着。
地焼き独特の香ばしさに加え、外はカリッと焼かれ、中はプリッとしている。
うな丼にはシジミの味噌汁と漬物は信州だけあり野沢菜だ。
続いて、「うな重 極上」の登場!
「うな重 特上」は二段重だ。
シジミの味噌汁に肝吸いも付いてくる。
漬物も野沢菜の他に胡瓜も付く。
上の重には、蒲焼きが三切れ。
下の重にはご飯の上に蒲焼が二切れ。
あれれ、極上には蒲焼が七切れのはずだけど…。
ご飯の中にもう二切れ隠れていました。
地焼き鰻の中入れはとても楽しい。中の鰻はご飯で蒸されて、違う食感が味わえるからだ。
プリプリさの秘密は鰻の厚みに。
自分は、味のきている小さい鰻も好きなのだが、肉厚の鰻もまた違った味わいで好きなのだ。
シジミは、ミネラルが豊富であるし、味噌処の信州の味噌汁は美味い。
肝吸いには、大きな肝が2つ。
醤油味が前に出ている吸物もこの肝ならとても合うと思う。
「うな重 極上」は、2人でシェアしても十分満足できるボリュームがあった。
そこに「うな丼 上」が加わっているのだから鰻腹、鰻福の大鰻足でだったのは言うまでもない(笑)
会計の時に女将さんと少し話をした。
今の店舗には、15年前に移ったという。
長男が松本市で、ここ岡谷は次男が『うなぎ水門』の味を引き継いでいるとのことだ。
お土産にうなぎの骨のからあげを買って帰る。
女将さんは「カルシウム100%だでね。」と諏方弁でニッコリ。
揚げ立てに甘いタレを絡めてあるようで酒のつまみにぴったりなのだが、半分ぐらいは孫が美味しいと食べてしまった(笑)
入口の扉には「当店では、注文を受けてから新鮮な鰻を生から焼きお出ししています。混雑の際には、お時間がかかる事がありますが、ご理解のほど、お願いいたします。」と貼ってある。混雑時なら待っても仕方がないと思わせる店だった。
入口脇にはガラス越しに炭火の焼き台が見える。
女将さんの次男と思われる方が、鉄串に刺した鰻を丁寧に焼いている。「美味しくなれ!」と心で呟きながら焼いているかもしれない。