銚子から鹿嶋へ至る国道124号線沿いに『但馬山杉澤』はある。
電車での最寄り駅はJR成田線・下総橘駅だろうか?千葉県側から利根川大橋を渡り、国道24号線を波崎方面へ3㎞ほど走ったところである。
道路沿いの大きな看板が目印
立派な割烹風の建物である。
玄関脇には「名古屋コーチン普及協会」のポスターがある。
地鶏料理に力を入れている様子がわかる。
伺うきっかけは、 Instagramでこちらの「上うな重」の写真を見たからだ。
タグを手掛かりに調べると、注文が入ってから活鰻を割くらしい。
これは伺って、割き立てをいただきたと出掛けた。
開店時間の前に着いて、ウロウロしていると
店の中から女性が出てきて「まだ15分ほど待ちますが、中へお入りになりますか?」と言ってくださるので、お言葉に甘える。
お好きな席へと言われたので、厨房の見えるカウンター席へ
席は他にも小上がり座敷が2か所。
奥にも座敷があるようだ。
厨房で仕込みをしている板さんに、これから割く活鰻を見せていただけないか?とお願いすると
「ここに書いてあるんですが…。」とメニューを見せられる。
残念なことに、今の時期は朝、夕に割いて白入れまでを行ってしまうということだ。残念!
メニューには、鰻に関する丁寧な説明文が載せてある。
店主の杉澤昌志さんは、鰻問屋加工場出身だと書いてある。
厨房の奥に炭火の焼き台が見える。せっかくなので、鰻を焼いているところを撮影させてもうらようお願いすると
窓の外からならば、OKしてくれた。
20分ほど蒸し、タレ入れの寸胴の灰汁を丁寧に除いたのちに焼きに入る。
『但馬山杉澤』は、16年前に鰻を焼いている杉澤昌志さんと弟が開いた店だと、杉澤さんのお母様が教えてくれた。
3度タレをつけて飴色の艶が出てきて、焼き上がり。
焼いているところを見せてもらっている間に、続々とお客さんが入店する。
お昼の献立に並ぶ名古屋コーチンや水郷赤鶏、錦爽どりなどのブランド地鶏を使ったメニューがお目当てのようだ。
「きじ焼き」などで鶏を焼く炭台は、鰻とは別にしてあるのはこだわりの現れだろう。
30分ほどで「うな重」が到着。
これだけ混んでいて、地鶏メニューもこなすとなると白入れまでの仕込みは仕方のないことなのかもしれない。
それに最も忸怩たる思いを抱いているのは、店主なのかと思うのだが…
蓋をとった瞬間、炭火焼特有の香ばしさが鼻を衝く。
見た目も綺麗な「うな重」である。
キリリとした江戸前風のタレに、外は歯応えをある程度残し、内はとろける柔らかさ。
ユニークだと思ったのは、漬物の中に自家製であろう梅干しがあったこと。
大女将に理由を尋ねると
「昔は食べ合わせが悪いと言っていたらしいね。」と軽く流されてしまった(^^ゞ
食べ終わる頃は、さらに忙しくなってしまい
どこの鰻問屋出身なのか?などを聞けず仕舞いだったが、腕の良い職人肌の店は地方にもいるし、地元の人しか知らない名店があるものだと改めて実感した。