04年8月に鰻研究隊本部秘密基地の掲示板で「ウナギと虚空蔵さま」が話題になり埼玉県三郷市にウナギに関係のある寺院があるというのを知りました。
それをきっかけに「ウナギと虚空蔵さま」のことを自分なりに調べてみました。
ウナギと虚空蔵さま
虚空蔵信仰は、真言宗の開祖・弘法大師が唐に渡る以前から「虚空蔵求聞持法」という虚空蔵菩薩によって記憶力を成就する修法を学んでいたのと”虚空のように広大無辺の福徳と知恵”といわれる虚空蔵菩薩にあやかりたい心が結びついたものだと思います。
この虚空蔵菩薩のお使いがウナギだといわれています。ですから虚空蔵信仰を護持する地域のウナギを食べない伝承は各地にあります。そのひとつが三郷市彦倉地区です。
縁は異なもの
イトーヨーカードーに勤めている親友が、04年秋から三郷店の開店準備室に配属されています。彼から元旦に店の関係者と一緒にウナギに関係のあるお寺にお参りし、護摩を焚いて頂いたという話を聞いた。
彼のおかげで、彦倉虚空蔵尊のことを思い出し、うなぎ大好き的初詣に早速出かけました。
お参りをしていると丁度住職がいらっしゃり、我々の趣旨を伝えると快く堂内に招いてくれました。本当に縁とは不思議なもので、彦倉虚空蔵尊では今春、ウナギ供養塔を建立するのでネットで情報を発信する準備をしているとのことだった。
取り戻せ!真心
彦倉虚空蔵尊のご住職・石井秀誉さん(53)は、とても気さくで、勉強熱心な方です。
「土用の丑の日」といいますが、なぜ、丑の日なのでしょう?私とご住職の意見は虚空蔵さまつながりで一致しました。ご住職は、伝承どおり、ウナギを食べたことがないそうで、うなぎ屋さんのことなどを逆に取材されました。さすが知恵の虚空蔵菩薩のお寺のお坊様です。
今春、ウナギ供養塔を建立し、秋にはウナギ供養祭を開きたいということでした。そのわけは、この殺伐とした世の中で、お寺に一般の方に来ていただき真心を取り戻してほしい。そのきっかけのひとつがウナギと虚空蔵さまということだそうです。
明星山延命院虚空蔵尊縁起
明星山延命院は当地方随一の名刹であって創立は遠く足利時代と推定される。
当山虚空蔵尊は後土御門天皇の御宇文明18年(1486年)に古利根川の洪水の折りじょうりゅうから漂着して、当地に来臨せられ当山の地に滞留された。弘法大師の御作ともいわれている。《中略》
また、御宝前の御守鏡は大和武尊の御妃弟橘姫の御遺愛品といわれ、天正3年(1575年)に羽柴筑前守秀吉はこの御鏡を東国で入手してこれを主君織田信長に献上されたという。
その後、信長公はこの守鏡を護符として常に身につけられたが、同10年逆臣光秀の反逆に遭い京都本能寺に於いて殺害された時には奇しくも焼失を逸れて何者かの手によって東国の故地に持ち帰らせて当山に奉納させ今日に及んで安置されているのである。
延享年間に御堂が美々しく改築されて以来、丑寅の人々の守り本尊として威名近郷近在広まり兼ねて家内安全・病気平癒の大衆の願望を成満さしめ給い、また、婦人に対しては安産子育等に著しい功徳を授けられてきた。