入谷鬼子母神門前のだや ~2017年うなぎ初め〈いりや御膳〉~

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『入谷鬼子母神門前のだや』さんは幻の鰻といわれる「共水うなぎ」と明治時代から続く鰻の名産地・三河一色の「兼光淡水魚」の活鰻を使用している。

その『入谷鬼子母神門前のだや』さんが使用している2大ブランドの鰻が味わえる復刻新商品〈いりや御膳〉が新年からラインナップに加わるという。
しかも「かねみつ」は地焼き塩焼きで「共水うなぎ」は江戸焼きのうな重で味わえるのだ。

三河一色は地焼きの名店が群雄割拠する名古屋のお膝元である。
私は地焼き鰻が食べたくて名古屋まで行くことがしばしばある。特にサクッふわの三河一色産の白焼の美味さと言ったら堪えられない。

暮れに『入谷鬼子母神門前のだや』さんへお邪魔した際に詳しく書いたように江戸焼きの「きょうすい重」は幻の鰻と匠の技のコラボレーションも筆舌に尽くし難い美味さである。

さらに鰻川魚調理のプロフェッショナル団体「野田屋東庖会」総帥にして『入谷鬼子母神門前のだや』店主でもある江部惠一さんが鰻調理指導をされた「陽炎の辻 完結編」を観たばかりなので、胸の高まりもうなぎ昇りという訳だ。

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伺った日は、抜けるような青空に“”の文字が映えていた。

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『入谷鬼子母神門前のだや』さんの店頭へ行くと
「本日の焼き手は野田屋東庖会 江部惠一 が務めます」
とあるではないか、期待は鰻天の空まで昇っていく。

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支度中の札が商い中に変わる。
暮れに伺った時のえんじ色の暖簾だったが、新春からは紺色になった暖簾がかけられて、いざ店内へ。

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新年とうなぎ初めを寿ぎ〈羽根屋〉を1合いただく。

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池波正太郎さんの著書『男の作法』によれば
「おこうこぐらいで酒飲んでね、焼き上がりをゆっくりと待つのがうまいわけですよ、うなぎが。」
とあるが、ついつい美味いアテが用意されていれば頼んでしまうのが食いしん坊の性である。

〈うなぎとクリームチーズの酒盗和え〉で呑みながら胸の高まりを抑えつつ、うなぎを待つ。

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うなぎにバターや乳製品が合う。
そこに酒のアテにはもってこいの酒盗を合わせれば、この上ないうなぎ好きの酒のアテである。
江部さんは江戸時代からの伝統を引き継ぐ匠なのだが、斬新に新しいものを取り入れる柔軟さも併せ持っているのには頭が下がる。

ちょうど1合が空になると真打のお出ましだ。


見目麗しきうな様とご対面。この瞬間で昇天しそうだ。

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ひとまず、うな重に蓋をして、上段の地焼き塩焼きからいただく。
口に運び、歯を入れるとサクッという心地良い音が脳に響く。
三河一色産「匠の鰻・かねみつ」と「匠の技」の匠×匠を鰻喫する。

まずは添えてある酢橘はかけないで食べて、サクッという歯応えを楽しんでほしい。
あとはお好みで酢橘をかけるも良し、おろし立ての本山葵と醤油でいただくのもよし。

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匠の技で美しく焼き上がられた蒲焼は見惚れてしまう。
口に運べば、円やかな食感でうなぎの旨みが口中に広がり蕩けていく。
こちらは幻×匠の星3つどころか星鰻点だ。

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正月早々に〈いりや御膳〉という『入谷鬼子母神門前のだや』さんの至高のうなぎコラボレーションにして、最高のフラグシップメニューを味わえたことに鰻福感でいっぱいである。

うなぎ好きにとって、春から縁起が良いことこの上ない。

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中庭の七福神も正月の装いで祝ってくれている。

今年のうなぎ行脚も幸先よくスタートが切れた。
感謝感激うなぎ昇り。

 

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