カミさんと息子が【鰻問屋もがみ】さんで見学させてもらって、我が家の鰻熱はうなぎ昇り。
「やっぱり、鰻は美味しいよね。」
「また、食べたいね。」
という訳で今日は家族で鰻を食べに行く相談がまとまったようだ。
赤ん坊がいるので子供可で座敷か、小上がりがあるお店が第一条件。
婿殿は「〈うなさし〉が食べたい!」と言う。
ここで『川昌』か、『鰻樹』に絞られた。
『鰻樹』の店主・鈴木祐介さんは【鰻問屋もがみ】でも修業されていたので問屋さんの話もさらに聞けるからと『鰻樹』に決定。
日曜日のディナータイムに運良く予約も出来た。
いろいろな鰻料理があるので銘々、一品料理をひとつずつ頼み、シェアしてたのしむことにする。
まず、お酒を飲む人にお通しの〈肝煮〉
婿殿は最初からお目当ての〈うなさし〉
みんなも食べたいので大皿で
鰻の血には毒があるので〈うなさし〉を作るには特殊な技術がいる。
だから全国でも鰻の刺身を提供する店は数店しかない。
首都圏では『川昌』と『鰻樹』だけではないだろうか。
そして、〈うなさし〉を作る工程で鰻の皮を引く。
『川昌』では鰻の皮をふぐのように湯引きして出すが、『鰻樹』では鰻の皮を〈うなぎの皮焼き串〉として出している。
〈うなぎの皮焼き串〉といったら皮の下のコラーゲンがギュギュっと詰まっていてサイコーに美味いっ!
うな好き女子には堪らないだろう。
上の娘は〈うなぎのたたき〉をチョイス。
カリッカリに焼き上げた皮の香ばしさとふっくらした身にたくさんの薬味とポン酢ベースのソースがマッチしている。
これも女子受けするうなぎ創作料理だろう。
〈ガマの穂焼き〉はカミさんが好きな料理。
鰻を筒切りにしてシンプルに塩焼きしているので、鰻の旨みをストレートに味わえる。
自分のように子供のころ、川で鰻を釣った世代には懐かしい品である。
うなぎ創作といってもこのような奇をてらわない料理を提供するところが発想の柔軟性だと感じる。
玉子好きの息子は〈う巻き玉子〉
定番の鰻料理も美味いっ!
私は〈うなぎの天婦羅〉
サクサクの衣を纏った天婦羅は、鰻の旨みが濃縮されている。
塩を少しつけるとさらに旨味が引き立つ。
薬味をのせて、ポン酢風味のつゆでも美味いっ!
辛いもの好きの下の娘は〈うなぎのユッケジャン〉
山椒の風味が効いていて、辛さの中に和風の旨みを活きている。
見た目は似ているが、焼肉屋さんのユッケジャンとは一線を画す。
この辛さでも鰻の旨みがしっかり残っているのは流石のひとこと。
この発想の豊かさが凄い!
〆も銘々いろいろお願いした。
〈金のうな丼〉
発祥は店主の修行先『川昌』だが、良さを活かして鰻樹オリジナリルに仕上げてある。
シンプル イズ ベストな〈うな丼〉
半身なので女子の〆にはちょうど良い。
〈白蒲重上〉
白焼も蒲焼も食べたい欲張りな人には絶対にお勧め。
〈東西重〉
関東風の蒸しの入った蒲焼と関西風地焼きの蒲焼がひとつのお重で楽しめる。
我々マニアックな鰻好きの要望で実現した裏メニュー。
タレも江戸前風のキリッとしたタレと地焼きに合った甘めのタレが選べるのは嬉しい。
何度も伺っているが、初めて頼んだ〈塩まぶし〉
これは絶品!
私は地焼きの白焼きの美味しさに惹かれて年に数度、名古屋『うな豊』さんの〈白焼き重〉を食べに出かける。
それを彷彿させるが、これもまた鰻樹らしさが現れている優れものだ。
薬味とお出汁が付いているので、まずはそのまま、薬味を乗せて、お出汁をかけてと楽しめる。
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食べ終わって、他のお客さんが帰られた後に店主の鈴木さんに修業時代のお話を聞かせていただいた。
鈴木さんのご実家は飲食店をされていて、料理を作るお父様の姿に憧れて、この道に入ったそうだ。
問屋時代は、夏場の繁忙期は寝る暇もないくらいの忙しさに加え、朝ら晩まで鰻を裂いているので手はパンパンでグローブのようになっていたという。
それでも【鰻問屋もがみ】の佐藤社長が若い衆の気持ちを汲んでくれたので頑張れたという。
そして、豊かな発想は『川昌』時代に磨かれたそうだ。
そう話す鈴木さんの顔には、『川昌』の飯塚裕志料理長を兄のように慕い、リスペクトする姿があった。
鰻樹の料理の素晴らしさは鈴木さんのセンスと努力があってのことだと思うが、感謝の気持ちを忘れないその姿勢に裏付けられていると感じざるを得ない。
やはり、料理は人柄が作ると感じた家族団欒の鰻の時であった。