北千住 うなぎ すぎ田 ~DEEPな街のDEEPな鰻屋~

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今夜は北千住で“ぶらり”ならぬ“にょろり

千住の歴史をおさらいしてみる。

千住宿は、武蔵国足立郡・豊島郡の荒川(現隅田川)曲流部で海抜2メートル前後の沖積低地上、荒川に架けられた千住大橋沿い、隅田川両岸に設置され、南北に延びる奥州街道・日光街道に沿って形成された宿場町である。日光街道および奥州街道の初宿で、水戸街道はここから分岐していた。

文禄3年(1594年)荒川に千住大橋が架けられ、五街道の整備が進められると、慶長2年(1597年)に奥州街道・日光街道の宿駅に指定された。 千住は、奥州街道・日光街道と荒川が千住大橋にて交差し、荒川・隅田川・綾瀬川が付近で合流しており運輸・交通の便に有効な場所であったことから、隅田川で千住大橋沿いに橋戸河岸が置かれていた。千住河原町に設置されていた千住青物市場(やっちゃ場)は御用市場となった。千住は江戸に物資を運び込むための中継地点としても発展した。

Wikipedia千住宿より

農産物・川魚などの産物が集合・出荷されていた千住には、現在まで暖簾を守る川魚問屋がある。
元禄年間創業の『鮒与』は都内で一番長い歴史があるといわれ、天保8年(1837年)に創業した川魚問屋『中市』は『登亭』の前身である。


北千住駅西口のぺデストリアデッキを降りて、マクドナルドの横を入っていくと「ときわ通り」という呑み屋街がある。
通称「呑み横」とも呼ばれ、『千住の永見』『関西風串カツ天七』といった呑兵衛の間ではつとに有名な店から今風のこじゃれた店やピンサロまでが混在するDEEPな一角である。

「ときわ通り」を酔客の喧騒をBGMにしばらく歩くと『うなぎ すぎ田』の看板を発見する。
「うな電 風味一バン」が良い。しかし、東京の市内局番が3桁だ。30年近く前に設置した看板である。

店の前にやって来ると暖簾も出ていないが、中からは灯りがもれている。
思い切って、引き戸を開けると「いらっしゃいませ」の声にホッとする。

カウンター席には、常連と思しき先客が1名。
ひとつ椅子を空けて座る。

座った目の前にうなぎの部位を示したうな串のボードがある。

うな串をひと通りお願いすると、全部は出来ないがあるものだけ焼いてくれるという。

冷蔵庫から串物を出すついでにバットに乗った串打ちまで済ませた生の鰻を見せて
「お食事はしますか?生から焼くので時間がかかりますけど。」という。

この時点では何本のうな串が出てくるのか、わからなかったので、待つことは構わないのでうな串を食べてからお願いする旨を伝える。

熱燗を頼んでしばし待つことにする。

お通しは〈しらすおろし〉
大根のおろし方がきめが細かくて、丁寧な仕事が窺える。

「待つのは構わないって言ってくれると助かるんですよ。中にはせっかちなお客さんもいるんでね。」
「うなぎ、お好きなんですね。見るとわかりますよ。」
などと気さくに話しかけてくれるご主人。

〈うな重〉はうなぎの量で2,500円と3,000円を用意しているとのこと。
また、生から焼くので蒸しを入れてもいいし、地焼きも出来るという。

「短尺は蒸さないで焼くから食べて決めてください。」とうなぎ好きの気持ちがわかる言葉。
ならばと、短尺は塩でお願いする。

〈短尺〉
皮パリで中はふっくらジューシーな仕上がりである。
この焼きなら〈うな重〉も地焼きでお願いする。

〈レバー焼〉
艶やかなでプリプリしているレバーは新鮮さがわかる。
レバーも塩にしてもらえば良かったと思う。

〈きも焼〉
「このところは肝が小さいんですよ。」とご主人。
この日は、鹿児島産の活鰻だという。
鹿児島の複数年飼育のうなぎなら肝は小さくて仕方がないだろう。

ご主人は「冬場は中国産の脂のノリが良くて、柔らかいんですけど…。」という。
どうやらお客さんの国産鰻の要望が強いらしい。

冬場の国産は味は良いが、硬いゴリゴリのヒネ仔になってしまう。
冬場は中国産の新仔を使った方が職人さんも扱いやすいし、正規の問屋のルートなら安全性も担保されていると思うのだが…。

〈バラ身〉
コリコリした食感が堪らない。

〈ヒレ焼〉
ヒレと一緒に巻いたニラの焼き加減が絶妙だった。

うなぎの多彩な味わいを、シンプルに味わうには串焼きが一番だと思う。
堪能させてもらい、鰻腹になりつつある。

2,500円の小さい〈うな重〉を焼いてもらう。

うなぎが火の上に乗る。
焼き上がるまでも至福の時なのだ。

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地焼き〈うな重〉の蓋をワクワクしながら開ける。


ぱりふわの地焼き〈うな重〉

皮目もパリッと焼き上がっている。

〈肝吸い〉も吸い地と白髪ねぎがよく合っていて美味い。

待つ間も話好きのご主人とうなぎ談議に花を咲かせ、うな串で呑んで関東ではレアな本格派の地焼き〈うな重〉〆るという理想的なうなチャージのひと時だった。外観、店内は創業30年の時を経て、お世辞も綺麗とは言い難いのが正直なところ。しかし、うなぎ料理は安くて美味い。うなぎ大好き的きたなシュランを贈呈したいと思う良店に巡り合った。駅前は綺麗に衣替えした北千住だが、DEEPな街は健在でDEEPな店も健在だった。

 

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