東海地方のうなぎ屋さん巡りの旅に出る前に熱田神宮を参拝。
熱田神宮といえば、近くに全国的にも有名な『あつた蓬莱軒』があるが、熱田神宮の北側には『大和田』という老舗がある。
聞く話によると取材を一斉受けない店だそうでメディアにも登場せず、公式ホームページもない。
つまり信頼できる情報が極端に少ない。故に以前からとても興味をそそられていた。
熱田神宮から伏見通りを北に向かう。
市営地下鉄の神宮西駅を過ぎて250mほど進むと右手に『鰻 大和田』の看板が見える。
開店時間の15分前に到着。一番乗りだ。
店が開くまでゆったりとした気持ちで待つ。この時間が何とも言えず、静かな楽しみ。
扉が開いて、準備中の立て看板が営業中に変わって、店内へ。
「お好きな席へどうぞ。」と声をかけられたので中庭が見える小上がり座敷に上がる。
中庭には池があり、錦鯉が泳いでおり、老舗の料亭のような風情が楽しめる。
「おしながき」を拝見して〈うな丼(上)〉と〈鰻のきも焼き〉をお願いする。
呑みたいところだが、今日はまだ先が長いのでじっと我慢する。
注文の際に写真撮影の許可をお願いすると
「どうぞお撮りください。」と女性スタッフが微笑んでくれたのでホッとする。
取材拒否の店には写真不可の店もあるからだ。
お茶が美味しい。
熱田神宮の広い境内を歩いていたせいか、お茶を飲み干してしまうと、すっと女性スタッフがお茶をさしてくれる。
〈鰻のきも焼き〉
良い照りをしている。
大振りで苦味のないジューシーな〈きも焼き〉だ。
酒のアテにはざぞかし良いだろう。
お待ちかねの〈うな丼(上)〉もすぐに到着する。
名古屋で直に目にした中では、シズル感漂うウナ様である。
食べた感触も肉厚の鰻を適度に脂を落してジューシーに焼き上げていると感じる。
硬い皮目を如何に柔らかく焼き上げるか、という老舗伝統の焼き方を感じる。
満喫して、席を立とうとするといつの間にか、女性スタッフが靴ベラを持って傍にいる。
お茶をさすのもそうだが、目配りの接客に老舗の構いを垣間見た。
『大和田』という屋号は東京にも多くある。
屋号の由来や店の歴史をお聞きしたかったが、あいにく次の予定の時間が迫っていることもあり、聞きそびれてしまったのが唯一の心残りである。
再訪して、名物といわれる〈櫃まぶし〉もいただきなさいというお達しかもしれない。