出雲うなぎの老舗「山美世」とは

島根県松江市。
宍道湖と中海に囲まれたこの地は、古くからうなぎの名産地として知られています。
今回訪れたのは、中海に浮かぶ江島に店を構える
大正3年創業の老舗うなぎ店 山美世。
かつては大根島で旅館として創業し、
宿泊客や舟待ちの人々に中海で獲れたうなぎを振る舞っていたという歴史を持つお店です。
2018年春、現在の江島へと新築移転しました。

現在は中海産の天然うなぎこそ減少していますが、
山美世では全国でも有数の特大サイズのうなぎを仕入れ、
捌く前の数日間、大根島の地下水を使った生簀で泳がせることで、
往時を思わせる品質を保っています。
特別誂えの「鰻重 松」との出会い

今回いただいたのは、
グランドメニューには載っていない 特別誂えの「鰻重 松」。
本来は「鰻丼 松」として提供されているメニューを、
特別にお願いして 鰻重仕様 にしていただきました。
蓋を開ける瞬間は──
「鰻重パッカーン♪」
香ばしい香りが立ち上り、
赤みを帯びた琥珀色に輝く蒲焼の美しさに、思わず息をのみます。
期待を超えた鰻重の完成度

ひと口食べて、すぐにわかりました。
これは、ただものではありません。
これだけ大きなうなぎを使いながら、
決して大味にならず、うなぎ本来の旨みを存分に味わえます。
小骨はまったく気にならず、
おそらくは、うなぎ自身の脂で骨を焼き切っているのでしょう。
香ばしさと、残された良質な脂、
そしてコクのある甘みのタレとの相性は抜群です。
「中入れ重」に感涙

ご飯の上の蒲焼は、
地焼ならではの外パリ・中フワ。
そして驚かされたのが、ご飯の中。
中にも蒲焼が忍ばせてある「中入れ重」仕様で、
外パリ感を残しながら、とろけるような食感を楽しめます。
素焼の実力と味の広がり

御膳には素焼も付いてきます。
こちらも旨みをしっかり閉じ込めた、ジューシーな焼き上がり。
何も付けずとも美味しさが伝わりますが、
山椒醤油や藻塩を添えれば、味わいはさらに広がります。
サラダ仕立てでいただく素焼も、実に楽しい一品でした。
名脇役たちが支える一膳

島根の恵み、シジミのお吸い物は滋味あふれる味わい。
内臓の煮付、大根の酢の物も、
主役を引き立てる名バイプレーヤーとして欠かせません。
山美世のうなぎは「神の国のうなぎ」
山美世のうなぎは、
単に美味しいだけではありません。
土地の水、歴史、職人の技、
そして出雲という土地の空気をすべて含んだ味わい。
まさに、神の国・出雲にふさわしい一尾。
島根を訪れるなら、
このうなぎを目的に足を運ぶ価値は十分にあります。


