練馬区のうなぎ屋さんを検索していると綺麗な焼き色の蒲焼を出している店がいくつかあった。
そのひとつが『はせ川』
住所は練馬区桜台6丁目17-9
地図で場所を確認すると東京メトロ有楽町線・桜台駅、西武池袋線・桜台駅、都営大江戸線・豊島園駅のほぼ真ん中にあり、不動産屋の広告風にいえば3駅利用可なのだろうが、どの駅からも12~3分歩くようだ。
休みの日は極力歩くようにしていることだし、鰻が目当てとなれば苦にはならない。
埼京線・板橋駅付近で用事が済んだのが14:20過ぎ、このまま氷川台まで電車で行くと16:00の開店時間には随分と早く着いてしまう。スマホのナビ検索では目的地までは6.3Km、徒歩1時間22分と出ている。
運動がてら歩いていくことにする。
スマホのナビ通りに歩くとほぼ到着予定時刻に店の前に到着する。
1階手前が駐車スペースになっており、その奥が店の玄関になっている。
開店時間には少し早いため、支度中の札が出ているので駐車スペースで待つことにする。
壁に品書きと店の案内を貼ったボードが立てかけてある。
予約してほしい旨が書いてあるが、来てしまったものは仕方がない。
開店時間が迫ってきたので店の入口付近でウロウロしていると中から女性が「何かご用ですか」と。
食事に来たことを伝えると中に招き入れてくてた。
店内はカウンター席が5席。
通路を挟んで小上がり座敷がある。
改めてカウンターのメニューを拝見する。
お茶とおしぼりを持ってきてくれたので〈うな重〉の量を尋ねる。
〈梅〉は半身、〈松〉が3/4尾、〈特〉は1尾ということなので〈特〉をお願いする。
30分ほど待つというのでビールに〈きも焼〉も頼む。
〈お通し〉はこんにゃくのピリ辛煮
〈きも焼〉
肝だけでなくヒレも巻いてあり、丁寧な仕事ぶりが伺える。
食べると鮮度の良い肝を使用していることがわかる。
30分弱で「大変お待たせしました。」と〈うな重・特〉が到着。
蓋を開けると良い焼き色の蒲焼がお目見えする。
フワトロの江戸前鰻の王道をゆく蒲焼である。
タレはやや甘みのあるさっぱり系でご飯との相性が良い。
まだ、時間が早く他のお客さんがいらしていないのでお話を伺おうと
「ご主人」と声をかけると
「私は調理師会から来ている職人なんです。」とおしゃる。
鰻関係の調理師会は『野田屋東庖会』と『新東調理師会』がある。
焼き方からみて「新東さんからいらしているのですか」と尋ねる。
やはり『新東調理師会』所属の太田さんとおっしゃる職人さんだそうだ。
太田さんは『新東調理師会』創業以来のメンバーだそうで少なくともこの道50年以上のベテラン職人さんである。
都内はもとより地方のうなぎ好きなら知っている老舗・名店で腕を振るっていたそうだ。
大変美味しくいただいたことを伝えると
「今裂いたばかりだから美味しいでしょう。川魚は裂いて時間が経つと味が抜けていくからね。」
と基本が大事だとおっしゃる。
そして、鰻や川魚料理は日本の文化なんだから大切にしたいともおっしゃっていた。
基本を守っている職人さんの焼いた鰻は美味い。
太田さんのように日本の食文化を守って来た方に心から敬意を表したい。
そして、【うなぎ大好きドットコム】が、これからもその文化を継承していく一助になればと思う。