東武スカイツリーライン・東武動物公園駅東口を降りて古利根川にかかる橋を渡ると「丸に片喰(かたばみ)」を染め抜いたノボリが並んでいる。そこが創業130年の老舗『うなぎ割烹 高橋屋』である。

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門の前を少し進むと気軽に入れるテーブル席の食事処もある。

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今回はTwitterで相互フォローしている高橋屋四代目の高橋明宏さんにお伺いする旨を伝えたところ、お座敷を用意してくださった。
純和風のお部屋にテーブルが設えている。
入口の障子を開けていると素敵な庭園の一部もご馳走である。。
レトロな部分は残しつつ、お客様へのトレンドは取り入れている。

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まず、いただいたのは「前菜の盛合せ」
秋を感じる盛り付けである。

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うなぎ料理は2品

「ひと口白焼き」
蒸さない地焼きの白焼きで2枚盛られたひとつは腹の部分、もうひとつは尾の部分と食感の違いを楽しめる工夫がなされている。

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「鰻の煮こごり」
鰻の前菜の定番ともいえる料理で、その店の特徴が出る。
身がたくさん入っているが煮こごり特有の食感を失わないバランスが良い。

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海の幸が3品

旬の生筋子を自家製の醤油漬けに

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新鮮なヒラメはお造りで

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「子持ち昆布」は正月料理と思われがちだが、実は秋が旬。
ハレの日の食事の演出かと思われる。

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「胡麻豆腐」は舌触りが滑らかになるまで念入りに胡麻を磨り潰す手間のかかる料理。禅寺では修行の一環とされた料理と知られるが、和食の職人も同じことであろう。
丁寧な仕事がストレートに伝わる。

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箸休めには、秋を感じるの栗

 

「うなぎ割烹」と名乗る実力を感じるのに充分な料理の数々だった。
美味しさとともに料理人のホスタビリティが伝わり、お腹も心も満たされたのだった。

つづいて、初代から名物いわれる「うなぎの天麩羅」
身がホクホクし、鰻の脂と揚げ油がケンカをせずに旨味が引き出されてる。流石というほかない。
山椒塩と天つゆが用意されていたが、山椒塩がより鰻の風味を引き立ててくれるように感じた。

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さあ、〆のうな重であるが
『高橋屋』では、東の「蒸焼き」と西の「地焼き」が選べる!

ひとつづつ頼んで食べ比べてみることにした。

関東風の蒸しを入れた「特上うな重」

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しっかり蒸された鰻は柔らかでトロける食感である。
甘さを抑えたキリリとしたタレも良い。
身の崩れがなければ、視覚的にもベストに近い。

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関西風の蒸さない地焼き「特上うな重」

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地焼きは蒸さないためか身崩れもなく美しい仕上がり。
美味しい地焼きをパリフワと表現するが、これはパリフワフワ!
初めて食べる食感である。

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食べ比べて感じたのは、同じタレで東西風の鰻を比べると蒸した鰻は旨味が引き立っていることだった。
鰻自体が甘く感じるのだ。
一般的に関東の鰻は甘さを抑えたタレ、関西の鰻は甘めのタレを使うが、先人はこのようなことを考慮してタレを作っていたのか?とも感じた。

そして、肝吸いは蓋をとった瞬間に出汁の香りが鼻腔をくすぐる日本料理の王道をいく出来栄えと感じた。

デザートには「抹茶わらび餅」

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食事が終わったのを見計らって、四代目の高橋明宏さんが部屋に来てくださりお話しをさせていただいた。

高橋さんは、先代であるお父様が病気を患ったのを機に10年ほど前に和食の修業先からご実家に戻られたという。その当時の高橋屋は、先代が病をおして店を守っていたためか?高橋さんの言葉を借りれば「いつ潰れてもおかしくない」状況だったという。職人肌だったという先代は病気で思うような仕事が出来ない自分を責めて精神的にも追い込まれていた状況は想像に難くない。

先代を支えながら四代目として店を再建しようと決意した高橋さんは、まず店のホームページを立ち上げる。そして、休みの日には美味いと評判の鰻店を食べ歩いたそうだ。そのなときに目に留まったのが当サイト「うなぎ大好き」だったという。「うなぎ大好き」がアップした画像やレビューがとても参考になったと言ってくださった。少しでもお役に立てたとしたら有難い話である。

この10年で店の伝統を守りつつ、改良した点をいくつかお伺いした。

関東風の蒲焼は鰻の甘みが引き立っていたので、その秘訣は他店にないホームペーに載っていた「水蒸し」技法のためかとお聞きする。
水蒸しを行うのは会席料理の〆で蒲焼を食べたときにしつこくならないように脂を落とすためで、今回いただいたうな重の蒲焼では水蒸しの工程は行っていないということだった。その代りに徹底的に小骨を抜くことを大切にし、まろやかな舌触りになるようにしているとのことだ。

初代からの名物「うなぎの天麩羅」で、当時は蒲焼には向かない小さな鰻を天麩羅にしていたそうだ。養殖が盛んになり蒲焼にできる鰻が安定供給されると脂ののりが良すぎて天麩羅には不向きになっていく。皮も揚げることでかたくなってしまう。
四代目は、店の名物を絶やさないために様々なチャレンジをしたという。例えば、鱧料理の技法を用いたりもしたという。試行錯誤の末にたどり着いたのは、白焼きして蒸した鰻を天麩羅にするということ。そこに企業秘密の技をプラスしてホクホクしてしつこくない現在の「うなぎの天麩羅」に至っている。

名店の再興を聞いていらした方の色紙が、あまり目立たない場所に飾ってある。
これは単なる有名人好きというのではなく、いらして評価してくださった方の名に恥じない仕事をしようとする四代目の決意と感じた。

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素敵な庭も見学、撮影を自由に開放している。

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100年を越える伝統を守り、時代に合わせた進化を目指す『うなぎ割烹 高橋屋』の皆さん。
温故知新の道を進むのを肌で感じた。

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鰻愛あふれる四代目のさらなる進化は、始まったばかりかもしれない。
現在、うなぎ業界は逆風にさらされているかもしれない。いつか順風に風向きが変わると「うなぎ大好き」は思っている。
『うなぎ割烹 高橋屋』がさらに50年、100年と続いた時、四代目は中興の祖として名を残す可能性が大いにあると感じた。

 

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