2024年「今年の一皿」

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2024年「今年の一皿」は、うなぎ!

2024年12月3日、1年の世相を最も反映した食を選ぶ今年の一皿記者発表会が、東京・千代田区の会場で開催されました。

「今年の一皿」は、飲食店検索サイトを運営するぐるなびが、日本の食文化を象徴し、後世に伝える価値がある食を毎年発表しています。今年で11回目になります。

2024年の今年の一皿には、アサイーボウル、うなぎ、ジャパニーズクラフトジン、プレミアムラーメンの4つがノミネートされ、選考の結果選ばれたのはうなぎ

うなぎが「今年の一皿」に選ばれた理由

選考理由は

  • 完全養殖の実用化に向けた研究開発の進歩をはじめとし、希少資源であるうなぎを後世に遺すための動きが活発化している
  • 土用の丑の日やハレの日に食されることが多かったが、加工技術の変化や提供方法の多様化により、うなぎ専門店や取扱店舗が増加し、高級食材としての地位を保ちながらも、以前より気軽に味わえる機会が増えてきている
  • インバウンド観光客からも人気を集め、「蒲焼」という日本発祥の伝統的なうなぎの食べ方を世界へ発信する起点の年となった

「今年の一皿」公式サイト より引用

うなぎは、縄文時代から食べられている私たちに日本人にとって親しまれている食材です。今食べている蒲焼の原型は、江戸時代中期に醤油とみりんの大量生産が可能になり多くの人に広まったといわれています。そのようなうなぎの食文化の長い歴史の中でもここ数年、次のような大きな出来事がありました。

  • 大阪・道頓堀川でニホンウナギを捕獲
  • 近畿大学がニホンウナギの完全養殖に大学で初めて成功
  • 女性職人の育成に力を入れている専門店が増える
  • ハイテク機材でうなぎ職人レスのうなぎチェーン店が登場
  • うなぎの完全養殖の初成功当時よりも大幅なコストダウン

うなぎに携わる方々の努力で新たなフェーズに入ったと思います。
今年の一皿に選ばれたことは、うなぎの食文化を未来へ継承していく上でうなぎを愛する皆様の大きな力になると思います。

美術・建築・デザインなど、分野の境界を跨ぐ活動をされ、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のエンブレムを制作された美術家・野老朝雄ところ あさお氏によりこの日のためにデザインされた記念品を株式会社ぐるなび 取締役会長・ 創業者であり今年の一皿実行委員会 実行委員長・滝久雄会長より、うなぎに携わる皆様、うなぎを愛する皆様を代表して受け取りました。

「今年の一皿」登壇経緯

なぜ私がうなぎを愛する皆様を代表して受け取ったかといいますと、2週間ほど前、今年の一皿実行委員会事務局の方から「うなぎについてヒアリングをさせてほしい」とご連絡をいただき、オンラインで1時間ほど、うなぎについてしゃべりまくりました。

最後に事務局の方は、私の著書『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』をお読みくださっていて、そのコンセプトや私のうなぎ大好きドットコムでの活動の理念であるうなぎの食文化を守り、未来へ継承するが、今年の一皿の選考理念と一致していると言っていださり「ぜひ登壇してほしい」とオファーをいだだきました。

とても嬉しいお言葉で、うなぎについて熱く語った後ということもあり勢いで「承知致しました」と言ってしましたが、記者発表会で滝会長から記念品を受け取る大役があると知り「私でよいのか」と疑問と不安でいっぱいになりました。その後の事前打ち合わせで事務局の方から「大丈夫です。緊張しないでいらいてください」とのお言葉をいただき、大役をつとめた次第です。

2024年「今年の一皿」トークセッション

記念品授与の後は、うなぎの人工種苗について研究を進めている近畿大学 水産研究所 田中秀樹特任教授、うなぎ職人の育成プログラムを導入し、女性の職人育成に力をいれている株式会社うなぎ家の松井智子社長と、ともにトークセッションを致しました。

田中教授が増養殖研究所(当時)南勢庁舎にいらした時に、うなぎの完全養殖の現場を見学させていただきました。久しぶりにお会いできて、とても嬉しかったです。

松井社長の取り組みは、著書『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』で「うなぎの最新事情」として書かせていただき、お会いしたかった方です。

田中教授からは、うなぎの完全養殖最先端の話題や人工種苗の難しさなどを解かりやすく話してくださり、とても勉強になりました。

松井社長からは、主婦からうなぎ職人に転身される方のお話を興味深く、お聞きました。

最後に司会者から今後のうなぎの展望について聞かれ、私は、まず「うなぎの食文化は、ピンチをチャンスに変えてきた歴史」と答えました。

昭和30年代、治水対策のために河川にダムや河口堰などの人口構造物が出来て、天然うなぎの遡上が難しくなった時には、うなぎを稚魚から育てる養殖事業が盛んになりました。

うなぎがレッドリストに載った時には、田中教授のような研究者の長年の努力実り、世界で初めてうなぎの完全養殖を成功させました。

うなぎ職人不足が顕著になった昨今は、松井社長のように職人の育成プログラムを導入をする方が現れたり、職人レスのチェーン店が増えたことで逆にうなぎ職人に注目が集まり、やりがいのある仕事としてうなぎ職人を志望する若者が徐々にですが、増えつつあります。

今年の一皿の選考理由にあったように、今年はアジア圏の方のみならず、欧米の方にもうなぎの美味しさが広まりました。うなぎの量がさらに減ってしまう懸念も出て来ました。しかし、今年から雌化したうなぎの商品化が実現しました。今まで養殖うなぎの9割以上が雄でしたが、大豆イソフラボンを餌に混ぜることで雌うなぎの養殖が可能になりました。雌うなぎは、成長も早く大きく育ち、身も皮も柔らかく、資源保護に役立つのです。

さらに田中教授たちの研究が進めば、完全養殖うなぎを食べらるようになると信じています。

これからもうなぎで世界を鰻面の笑みに!

うなぎが2024年今年の一皿に選ばれたことはうなぎで世界を鰻面の笑みに!へ向けて大きな一歩です。これを契機に、うなぎの明るい未来を願ってやみません。

うなぎもうなぎに携わる皆様もうなぎを愛する皆様も運気うなぎ昇りとなりますようにお祈りしつつ、うなぎが今年の一皿に選ばれたことへのお礼の言葉に変えさせていただきます。

 最後になりましたが、ヒアリングから本日の記者発表会までサポートしてくださった今年の一皿・実行委員会の皆様には、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

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