八重洲鰻はし本は、2022年11月より建て替え工事のために仮店舗で営業をしています。
6月20日発売の拙著『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』第四章「うなぎの名店 愛される理由」の中で八重洲鰻はし本を「哲学のある老舗」として書かせていただきました。

八重洲鰻はし本の四代目・橋本正平さんには、忙しい中で校正をしていただきました。
掲載している挿絵の原画を持ってお礼に伺いました。

創業以来の理念「鰻 これくふて やくのむな」を当然といえば当然であるが、店頭に掲げられている。

カウンター席に案内されて注文を決めます。

今日はうな重 ろ に赤だしをつけて、四代目のおすすめの品をお願いしました。
ばら焼
まず、到着したのは、うなぎ串物からばら焼。

ばらは、中骨の周りの赤身。
蒲焼にする時は捨ててしまう部位を丁寧な仕事で極上の逸品に仕立てます。
脂乗りが良く、タレ焼きした香ばしさがたまりません。
八幡巻
次にやってきたのは八幡巻。
八幡巻は、旧八幡村(現在の京都府八幡市)発祥の料理といわれています。かつて上物の天然うなぎが捕れた宇治川、木津川、桂川の合流地点に位置する八幡村は、ごぼうの産地でもあり、ごぼうをうなぎで巻いた料理が八幡巻と呼ばれ、全国に広がりました。

八幡巻は、タレで煮る焼くかしているのが一般的です。
ところが鰻はし本の八幡巻は、ごぼうを芯に白焼きで巻き、香味野菜を薬味としてトッピングしてあるののです!
白焼の芳ばしさ、ごぼうの独特の香り、薬味の爽やかな香りなどがハーモニーを奏でます。
食感も白焼のパリふわ感にごぼうのシャキシャキ感などが楽しめます。
伝統的和の食材を使いながら口の中ではフュージョンミュージックが流れているような感覚があるのです。まさに伝統と革新の融合を感じるは八幡巻でした。

うな重
〆は、うな重。赤だし肝入りとともに到着しました。

蓋を開けると見目麗しきうなぎ様が御座します。
ろ は、大きめの1匹が乗っています。

この日は、宮崎県 山道養鰻場 の活鰻。
甘みがあり、柔らかく、ほど良い脂が乗っていると評判の山道養鰻場の活鰻を鰻はし本が江戸前の技法で最上級の蒲焼に仕立てています。

鰻はし本でうなぎをいただきながらふっと浮かんだ言葉。
温故知新
過去の事柄や学説などを研究し、その中から新しい意義や知識を見つけ出すことを意味します。
孔子が説いた論語の一節「 温故而知新、可以為師」に由来する言葉です。
孔子が師となる条件として、先人の思想や学問を研究するよう述べた言葉で、「昔のことをよく調べて学ぶことで、現在や未来に役立つことがよくわかるようになる。これができて初めて人の師となれる」という意味です。
鰻はし本は、伺う度に四代目の鰻愛と哲学を感じるのです。
美味鰻福ご馳走さまでした!
※注意 ↓仮店舗の情報です。